【ブラザーフッド】nou/Osteria Tre Pazzi

グルマン温故知新

No. 925(2020.10.01発行)
いつでも! おいしい酒場。

居心地いい場所を作り出す、兄弟と先輩後輩の名コンビ。

互いに気心が知れて、言葉はなくとも通じ合う。そんなツーカーな2人が営む新店が登場。6歳違いの実の兄と弟で切り盛りする西荻窪のイタリアンに、同郷の先輩後輩でタッグを組んだ中目黒の創作料理の店。安定のチームワークで居心地いいことこの上なし!

【nou ●中目黒】居酒屋気分で楽しめる野菜が主役の創作料理。

 アパレル業界から転身したオーナーの板垣亮さん。神泉〈ぽつらぽつら〉で店長兼料理長を経験したシェフの宮地大介さん。2人は千葉県出身で、大学も先輩後輩という間柄。下積み時代から苦労を共にし、いずれは一緒に「センスがあり人間味がある温かなレストランを」と思い描いていた店を実現した。

右から、板垣さん、宮地さん。

 料理の主役は、宮地さんが足で探したという季節の有機野菜。例えば、バターナッツカボチャはウニを混ぜて薄い衣で包んだコロッケに。マナガツオのフリットは厚切りの焼きトマトをがっつりと、ソース代わりにして食べさせる。アレンジは和も洋も自由自在。スペシャリテの水餃子は白湯スープが濃厚かつ塩加減も塩梅よく、酒のアテにもぴったり。自由度が高く、盛り付けに気取りがない皿と2人の掛け合いがどこか居酒屋っぽくもあり、和むこと間違いなし。

 房総から直送されるジビエもおいしさが増す時期。千葉の隠れた食材の魅力も再発見して。

マナガツオのフリット 焼きトマトのソース

脂がのったマナガツオは、西京味噌に漬け込んでから色よく揚げてフリットに。オーブンでしっかりと焼き上げた千葉県東金市〈みろく農場〉のトマトの酸味でさっぱりと食べさせる。千葉県横芝光町〈小田島農園〉から届くディルの花、オキザリス、レッドオゼイユをあしらって。土ものの器によく映える。2,000円。

バターナッツかぼちゃのコロッケ

クリームコロッケをイメージした季節感のある温菜。ベシャメルソースをベースにウニでコクを出し、上からトリュフのスライスとマッシュルームのパウダーをトッピング。均一にまとった薄い衣の食感もよし。1,200円。

nouの水餃子

岩手県〈石黒農場〉のホロホロ鳥と発酵タマネギ、キクラゲ、もち米で形のいい水餃子に。ホロホロ鳥のガラと香味野菜を2日かけて煮込んだ白湯スープには、ニンニクが香る香味油、自家製黒マー油をひと垂らし。1,200円。

一枚板のカウンターに照明、ドライフラワー等、身内が力を貸してくれたというモダンな店内。

【Osteria Tre Pazzi ●西荻窪】軽いノリで王道を貫くイタリアンブラザーズ。

 満席なのに開店数ヵ月とは思えぬ驚きの安定感。それもそのはずで、シェフは吉祥寺〈トラットリアチッチョ〉の元料理長でフィレンツェにも渡った松原達志さん。サービスは、元〈ビストロ ハッチ〉ソムリエ兼店長の憲作さん。兄弟揃い踏みだ。

分業で切り盛りする兄の達志さん(右)と弟の憲作さん。

 メニューは明快で、前菜は魚介多め、セコンドは肉が主体、得意のパスタは王道推し。国産食材を多用し、山梨県〈うえのはらハーブガーデン〉のハーブ、静岡県富士市〈長谷川農産〉のマッシュルームなど「代えが利かない素材」にこだわる。定番カチョ・エ・ペペは食感も格別で、ペコリーノ・ロマーノと黒コショウの一体感に悶絶必至。鴨肉も火入れは丁寧で、リゾットとのバランスも最高だ。

 兄の料理を「とにかく旨そうで運んでいて楽しい」と弟。兄は「しかしよくしゃべる(笑)」と呆れつつ、信頼は絶大。弟のトークがグルーヴを生み、兄の料理はキレと勢いを増す。松原ブラザーズのノリはクセになる。

シャラン産鴨胸肉の炭火焼 赤ワインのリゾット添え

鴨肉はフライパンで皮目をパリッと焼き上げた後、炭火焼きでじっくりと火入れ。軽やかな酸味のリゾットを添えて相乗効果で引き立て合う。バルサミコ酢とイタリア産アカシアの蜂蜜を合わせたソースと、衣はサクッと中はジューシーなマッシュルームの取り合わせ。ロゼ色の断面にそそられる。3,000円。

いちじくとレバーのタルト

鶏レバーのペーストに生クリームを合わせ、ゼラチンで固めてタルトへ。底にはイチジクのジャムを忍ばせて。「気持ち濃いめの赤ワインと」と達志さん。パルミジャーノと卵白で作ったチーズせんべいを添えて。800円。

トンナレッリ カチョ・エ・ぺぺ

現地そのままのスタイルで供する一番人気のスペシャリテ。パスタは自家製の手打ちトンナレッリ。麺とチーズ、バターのコンビネーションは秀逸。挽きたての黒コショウは風味も良く、小気味良いアクセントに。1,400円。

カウンターをメインにベンチシートを設けたゆとりのテーブル席。
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nou/ノウ

電話:03・6303・0034
営業時間:18時〜22時LO(コース最終入店20時)。
酒:ビール750円、グラスワイン850円〜、ボトルワイン5,000円〜。
価格:コース6,500円、ショートコース3,500円、アラカルトあり。
席数:カウンター11席、テーブル1卓4席。

東京都目黒区東山1−9−11 2F。不定休。交通:東京メトロ中目黒駅から徒歩8分。サービス料10%。2020年月7月8日オープン。店名の〈nou〉は農家の「農」、四季折々の季節感を「脳」で感じてほしいという思いに由来。メニューはアラカルトのほか、10品6,500円のフルコースに、4品3,500円のショートコースで構成。ワインは自然派を中心に、常時80種以上を幅広く取り揃える。

Osteria Tre Pazzi/オステリア トレ パッツィ

電話:03・4361・5515
営業時間:12時〜14時LO(土・日・祝のみ)、17時〜22時LO。
酒:ビール650円、グラスワイン650円〜、ボトルワイン5,000円〜。
価格:サラダ900円〜、牛たんのカツレツ1,500円、パスタ1,200円〜。
席数:カウンター10席、テーブル2卓8席。

東京都杉並区西荻南3−15−1 MUビル1F。水曜休、不定休。交通:JR西荻窪駅南口から徒歩3分。2020年6月7日オープン。フライドポテト500円、焼きスカモルツァ600円、レバーペースト600円、フォカッチャ300円など付け合わせやつまみにもなる小皿料理も多数オンメニュー。アラカルトは前菜もパスタもハーフサイズで、セコンドのタリアータは100g単位でもオーダー可能。

photo/
Yoichiro Kikuchi
文/
粂 真美子

本記事は雑誌BRUTUS925号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は925号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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いつでも! おいしい酒場。(2020.10.01発行)

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