アート

躍動感溢れるミロコマチコワールドを堪能!

BRUTUSCOPE

No. 925(2020.10.01発行)
いつでも! おいしい酒場。
「ドクルジン」2019年
「音のどうぶつ」 2017年

制作の舞台を自然に囲まれた奄美大島に移して見えてきたものとは?

 彗星のごとく現れた、絵本作家・ミロコマチコ。デビューから約10年を迎える節目に『ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ』を開催する。新作は昨年奄美大島に住まいを移してからのものだ。環境の変化と新天地での制作秘話に迫った。

「自然が圧倒的な奄美では、人間はそこにお邪魔する存在です。引っ越してからは、常に自然に合わせて生きるようになりました。その暮らしが、最近の絵にも表れている気がします。島の伝統的な泥染めと出会ったことで、大地から色彩のインスピレーションを得るようになりました。東京にいた頃は、感じたことをストックして描くことが多かったのですが、島では、今何を感じているか、を表現するようになったと思います」

 ミロコさんの住む町は、龍が通るといわれているそうだ。それを知ってから、目には見えない"感じとるいきもの”に興味を持つようになったという。今回の展覧会での作品の中で最も思い入れがあるという〈海の呼吸〉の制作中の印象的な体験も語ってくれた。「描いた時のことを鮮明に覚えています。自分では意識していなかったのに、最後に目を入れた瞬間に、前日に海で会ったウミガメが絵の中に現れて、驚きました」

 また、展示では山形ビエンナーレに出品した立体作品も登場する。「立体の場合、そこに直接触れている感覚を平面より多く感じることができます。目や手足や翼をペイントしていると、どんどんいきものが生きてくることを実感できて楽しいです」

 絵画や絵本原画、書籍の装画などの作品が一堂に揃う機会。ぜひ、足を運んでミロコマチコパワーを間近に感じてほしい。

「夜を通るいきもの1」2020年。 ©mirocomachiko

『ミロコマチコ いきものたちは わたしのかがみ』

〜11月29日、宇都宮美術館(栃木県宇都宮市長岡町1077☎028・643・0100)で開催中。9時30分〜17時。月曜休(11月23日は開館)。入館料1,000円(一般、税込み)。11月14日に展覧会のデザイナー・漆原悠一とのトークショーを開催(事前予約制)。

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ミロコマチコ
1981年大阪府生まれ。絵本作家デビュー作『オオカミがとぶひ』で第18回日本絵本賞大賞を受賞。数々の著書を出版するとともに、本やCDジャケット、ポスターなどの装画も手がける。

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Nico Araki

本記事は雑誌BRUTUS925号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は925号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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