アート

【10月3日〜11月15日開催】齋藤精一プロデュース、『MIND TRAIL』とは。

BRUTUSCOPE

No. 925(2020.10.01発行)
いつでも! おいしい酒場。

奥大和の大自然をトレイルしてアートを巡る芸術祭が開幕。

 新型コロナの影響で多くのイベントが中止されるなか、異例の早さで始動し10月に開催が決まった芸術祭がある。ライゾマティクスの齋藤精一さんがプロデューサーを務める『MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館』だ。雄大な自然に囲まれた奈良県の奥大和と呼ばれるエリアを、数時間かけてトレイルしながら五感でアートを楽しむというもの(複数泊がおすすめ)。齋藤さんといえば実験的アプローチで都市開発やまちづくりの新たな空間的価値を提案しているが、「芸術祭では、表現したいことのために必要な場所に必要なものを配置するイメージです。運営チームは、デジタルに対してもアナログに対してもできる限り理解して対応できることが強み」という。

 奥大和といえば、修験道の聖地として長い歴史を持つ、日本の原風景を色濃く残す地域だ。山々に寄り添うように集落が点在し、伝統的な暮らしの風習が受け継がれる豊かな文化がある。

「実際に分け入ると、自然の解像度の高さに目がクラクラしてしまうほど。奥大和はその歴史から様々な場所に意味がある地です。そこから感じられる力と文脈に、無二の圧倒感がある」

 参加アーティストには、映像作家・上野千蔵や映像デザイナー・井口皓太ら21組の気鋭が名を連ねる。「深いレイヤーで思考ができる作家ばかりで楽しみです」と齋藤さんは力を込める。

「自粛中は多くのことを振り返って考え直す機会になりました。人間の存在、命、人々が果たす社会的役割、多岐にわたる様式をどう変えていくべきか……と、哲学的ではあるけれど自分なりのロジックとなって心が加速し、芸術祭のアイデアが生まれました。風景と作品から皆さんそれぞれの“美術館”を心の中に作ってもらいたいです」

 この時期だからこそ、広大な地を自分の足で歩く。その中でアートを通して見えるものとは。

『MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館』

参加アーティストは井口皓太、上野千蔵、oblaat、細井美裕、佐野文彦、ニシジマ・アツシなど。奈良県の吉野町、天川村、曽爾村にて開催。会期は10月3日〜11月15日。入場料無料。右は芸術祭のメインビジュアル。禅の「円相」をモチーフにしたロゴは、奈良在住の作家、坂本和之が手がけた。●問合せ/奥大和地域誘客促進事業実行委員会事務局☎0744・48・3016。詳細は公式ウェブサイトで確認を。https://mindtrail.okuyamato.jp

自然の中で、こんなアートが堪能できる?

画像はすべて参加作家がこれまでに手がけた参考作品。

ドキュメンタリー映画『太陽の塔』などで撮影を務める上野千蔵が演出・撮影した、young juvenile youthのMV「Her」。
詩人グループob laatの一人、谷川俊太郎による顕微鏡のための詩(ポエミクロ)。
〈ぴあアリーナMM〉のパブリックスペースで放映された、井口皓太の「Kinetic Frames」(2020)。
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さいとう・せいいち

1975年神奈川県生まれ。ライゾマティクス・アーキテクチャー代表。2021年のドバイ万博では、日本館のクリエイティブ・アドバイザーを務める。

text/
Shiho Nakamura

本記事は雑誌BRUTUS925号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は925号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.925
いつでも! おいしい酒場。(2020.10.01発行)

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