アート

Small Family (2012)|ミリアム・カーン

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 924(2020.09.15発行)
必要な服だけを。
©Miriam Cahn, courtesy of the Museum of Modern Art in Warsaw, Poland

 ジェンダーレスという考えは念頭に置きながらも、アート作品を見るとき、作者が女性か男性かに思いを巡らせるのも、やはり面白さの一つではないでしょうか。両親と子供が描かれた「小さな家族」という題のこの絵。幻想的であり、ちょっと恐ろしくもありますね。母親はピンク色に、父親は水色に、父親の左側に立つ小さな子供は青い線で縁取られ、胸から頭のあたりを赤く塗られています。そして、母親の右手は自身の恥部に置かれ、左手は父親の勃起した赤い性器の方へ伸びているように見えます。それにしても、暗闇の中にしては随分と母親が光って目立ちませんか? かの有名な「ミロのヴィーナス」やボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」の女神にもどこか通ずるものを感じます。さて、絵の作者は、MoMAやテート・モダンなど世界の主要美術館に作品が収蔵されている女性画家、ミリアム・カーン(1949年スイス生まれ)です。彼女が描いたこの“小さな家族”は、母親に大きな光が当てられているようです。

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文/
中村志保

本記事は雑誌BRUTUS924号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は924号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.924
必要な服だけを。(2020.09.15発行)

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