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【9月25日公開】グザヴィエ・ドラン監督が描く“恋と友情”の狭間。『マティアス&マキシム』

BRUTUSCOPE

No. 924(2020.09.15発行)
必要な服だけを。
『マティアス&マキシム』幼馴染みのマティアスとマキシムは、友達の妹の短編映画に出演を頼まれ、いきなりキスするように指示されてしまう。この日を境に、2人は秘めていた気持ちに気づき困惑する。脚本・監督・出演:グザヴィエ・ドラン/出演:ガブリエル・ダルメイダ・フレイタスほか/9月25日、全国公開。 ©2019 9375-5809 QUÉBEC INC a subsidiary of SONS OF MANUAL

『君の名前で僕を呼んで』から着想を得た新作を語る。

 若き天才と呼ばれたグザヴィエ・ドランも31歳。長編8作目の『マティアス&マキシム』は、地元ケベックを舞台に、幼馴染みの2人が恋と友情の間で揺れる心を、繊細かつ情動的に描いた。

「最初はラブストーリーを作ろうとしたのだけど、恋の芽生えにより友情が壊れてしまうのではないかと恐れる気持ちの方にだんだん興味が向かっていった。不安と戸惑いのなかで膨らんでいく恋心を描くのに、幼馴染みの男の子たちのグループというのはうってつけの設定だったと思う」

 幼馴染み役5人には、ドランの地元の仲間の俳優を配しており、男子のマシンガントークがとてもリアル。同世代、親世代、妹世代で使う言語が全く違うのも興味深い。

「ケベックでは、様々な異なるタイプのフランス語と英語が使われていて、それらがぶつかり合いながら共存している。ある世代の話す言葉が、ほかの世代には理解不能な“新しい方言”というのは、ここで現実に起きている文化の象徴とも言える。登場人物の性格を表すのに、話し方や笑い方、言葉のチョイスは重要だけれど、彼らは全く違うフランス語やスラングを話すので、それぞれの語りを描くのには苦労したよ」

 撮影方法や脚本の書き方、物語の展開など、毎作品、新たな挑戦をしていると語るドラン。デビューから11年がたち、さらにジャンルを広げていきたいと考えている。

「いつもみんなを喜ばせることなんて無理。たとえ、そうしたいと思っていてもね。でも、周囲の反応が良い時、観客を喜ばせることができたなと感じた時は、たいてい自分では満足していない場合が多い。2020年は世界で予想もしない事態が起きた。映画の世界だって、この先、どんなことが待ち受けているかはノー・アイデアだ。そもそも僕は自分の将来を見越すことなんて、これまでにできた試しがない(笑)。未来に思いを馳せるより、過去をさまようことの方が好きなんだ。経験的にね」

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グザヴィエ・ドラン
1989年カナダ・モントリオール生まれ。4歳から子役として活動。17歳の時に脚本を書き、19歳で長編監督第1作『マイ・マザー』を撮る。カンヌ国際映画祭監督週間に選出され、高い評価を得た。2014年『Mommy/マミー』でカンヌ国際映画審査員賞、16年『たかが世界の終わり』でグランプリを受賞。

text/
Tomoko Kurose

本記事は雑誌BRUTUS924号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は924号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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必要な服だけを。(2020.09.15発行)

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