エンターテインメント

渋谷に拠点を移した宇川直宏が、この街に思うこととは?

BRUTUSCOPE

No. 924(2020.09.15発行)
必要な服だけを。
宇川直宏

今だからこそ、渋谷の未来について考える。

 ライブストリーミングスタジオ〈DOMMUNE〉が、昨秋リニューアルをした渋谷PARCO内のクリエイティブスタジオに移転。〈SUPER DOMMUNE tuned by au 5G〉として本格的に動きだそうとしていた矢先、コロナ禍で渋谷の街は自粛ムードとなり、今もかつての賑わいを取り戻せないままだ。「DOMMUNE」代表の宇川直宏にこの街への思いを聞いた。

「かつての渋谷は文化の発信拠点で、バブル以降は世界最前衛の音楽の街でした。しかし、1990年代の終盤からは、都市ではなく、インターネットが周縁文化を発信する時代に移行。音楽の街とは言い切れない状況が続いていました。その後、ネットカルチャーの中心がスマホに移り、接続したまま街に繰り出せる時代に。再開発が進んだ今年は、セゾンカルチャーが全盛で文化的な豊かさを渋谷の街に求めていた、あの時代を取り戻せるチャンスだと思っていた。だから僕たちも引っ越したんです」

 しかし、事態は急変。

「再開発後の渋谷の真の存在意義を打ち出せるかどうか? それすらわからない現状を踏まえ、新たにウィズ/アフターコロナ時代の都市のイメージを構築する必要がありますね」

 だからこそ、渋谷を愛する皆でタッグを組み、よりよい環境にしていきたいと宇川は話す。

「僕は自己形成をしてくれた恩恵を渋谷の街に感じている世代。昼間はレコードを掘りながら、夜はライブを観に行き、深夜はクラブで遊ぶ音楽三昧の日々をこの街で送っていた時期もありますし、さまざまな体験をさせてもらいました。渋谷の強さは僕のような人たちがたくさんいて、底力を出せることですよね」

 今秋にDOMMUNEで配信されるプログラム「SHIBUYA CULTURAL LIBRARY」では、宇川をはじめ渋谷で育った大人が若者を巻き込み、この街の音楽のイメージを読み替えたり、街の歴史を汲み取りながら、新しい渋谷の文脈をつくっていく。

「人を惹きつけるこの街の磁力は今でも有効だと思うので、それを発動させる突破口を番組で見出していきたいと思います」

 宇川たちが導き出す、渋谷の未来に期待したい。

YOU MAKE SHIBUYA & DOMMUNE Presents 「SHIBUYA CULTURAL LIBRARY」

渋谷の都市形成史などを研究する「渋谷学」、日本の都市型音楽の拠点になった理由を解く「渋谷音楽図鑑」、GEZANやSIRUPなどのライブからなる配信プログラム。渋谷区、渋谷区商店会連合会、渋谷区観光協会、渋谷未来デザインが渋谷の文化を担う業界を支援するYOU MAKE SHIBUYA クラウドファンディングのリターンとして9月29日・10月2日・3日開催。視聴料金3,000円。https://www.dommune.com

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うかわ・なおひろ

1968年香川県生まれ。DOMMUNEでは、サブカルチャーを中心にコアな番組を配信。現代美術家、映像作家、グラフィックデザイナーなど多方面で活躍中。

photo/
Aya Kawachi
text/
Hiroya Ishikawa

本記事は雑誌BRUTUS924号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は924号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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必要な服だけを。(2020.09.15発行)

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