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【9月16日発売】歌ったり、演奏したり。音以外の表現にも挑戦。|STUTS『Contrast』

BRUTUSCOPE

No. 924(2020.09.15発行)
必要な服だけを。
STUTS

「わあ、人形焼きだ! 僕、甘いものが大好きで。牛乳に合うやつが好きなんです」

 取材に持参した手みやげをこんなに喜んでくれるとは。実は彼、おいしいものに目がない。星野源のワールドツアーに参加した時の食いしん坊エピソードも秀逸なのだ。

「上海で食べた豚足がとってもおいしくて、1本だけ荷物に入れてアメリカへ向かったら、空港で大変なことになりました(笑)」

 STUTSをご存じだろうか。心をキュンとさせるメロウなサウンドが人気のトラックメーカー。ヒップホップ好きには天才的なMPC(サンプラーやシーケンサー、パッドコントローラーを合体した音楽ツール)プレーヤーとして以前から知られ、名門ラ・サール学園から東大へ、大学院卒業後は就職しコンピュータープログラマーだったというユニークな経歴の持ち主でもある。

「トラック作りを始めたのは中3の頃。ヒップホップにハマったのがキッカケでした」

 しかし、中高時代はパソコンも携帯も禁止の寮生活。MPCは楽器と認められたが「理解してくれる同級生は皆無で。ただただ一人でのめり込む日々だったんです」。

 大学入学で上京するとクラブ通いを開始。ヒップホップ人脈を広げるため「知り合ったラッパーやDJに片っ端からCD−Rを渡していって。積極的な方ではないのに、気持ちが高まるとできてしまうんです」。

 MPCバトルに参戦したり、ニューヨークで路上パフォーマンスをしたり。そんな活動が話題を呼び、2016年にデビュー。ファーストアルバム『Pushin'』は音楽通を唸らせ、星野源からも声がかかった。

「レコーディングでセッションしませんかって。星野さんはとてもストイックな音楽家。一緒にいると学ぶことが多いんです」

 新作『Contrast』では、韓国のシンガーSUMINや鎮座DOPENESSらとリモート制作した楽曲もあるが、自らの声でボーカルに挑戦しているのが新鮮だ。アーティストをフィーチャリングし客観的に作るのがこれまでのスタイル。でも、「音以外の表現方法が欲しくなったんです。自分で歌ったり、演奏したり、言葉を書いたり。もっとフィジカルに、自分自身の内側を、パーソナルな部分を表現したいなって」。

 音楽がレゾンデートル。彼はきっとそんな人だ。趣味は? と聞くと「やっぱり音楽です」と答え、どんなことに無駄づかいをする? と聞くと「コンビニでお菓子をたくさん買ってしまうこと」と笑った。

『Contrast』

セカンドアルバム『Eutopia』から2年。自身初のボーカル、ラップに加え、ギターやベースの演奏にもチャレンジ。韓国の女性シンガーソングライターSUMINやDaichi Yamamotoなども客演で参加。進化を遂げたミニアルバムは9月16日発売。

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スタッツ

1989年愛知県生まれ。トラックメーカー、MPCプレーヤー。数多くのプロデュースやコラボレーション、CM曲も手がける。近年のライブでは、鍵盤を用いたパフォーマンスや、バンド形態での演奏など、精力的に表現の幅を広げている。

photo/
Yu Inohara
text/
Izumi Karashima

本記事は雑誌BRUTUS924号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は924号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.924
必要な服だけを。(2020.09.15発行)

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