旅と地域

あなたには、忘れられない旅はいくつありますか。

From Editors

No. 923(2020.09.01発行)
新・ニッポン観光
宮崎の高千穂峡。今日はここにいること以外、なにもしないと決めこむ。観光とは、古くは聖地への巡礼の旅であった、とカラダ全体をもって知る。

「風の歌を聴け」の文庫本をカバンに入れて、朝一番の高速バスに乗って京都に向かう。
自分で行き先を決める、初めてのひとり旅は高校生のとき。大学受験を意識し始めた2年生のときだったか。
哲学の道から八坂神社まで歩き、さらにずんずんと清水寺へ。観光客が行き交う中、ベンチに座り込んで読書をする。そこから京都タワーを目指して、ふたたび歩きだし、最終便で名古屋へ。半日ほどのショートトリップ。何を思い、考えていたかはまったくもって覚えてないけれど、高校2年生なりの、悶々とモワーっとした日々、そこから解放され、淀んだ世界が再びキラキラと輝き出す、そんな気分になったことだけは覚えている。
その後、世界中、日本中を旅をしたけれど、あの小さな一歩は、おとなになってからの旅と比べても、とても特別なものだ。

たとえ身近な場所であっても、旅をしようと思い立ち、準備をする、そして歩く、そこには、一生忘れられないほどの体験が待っている。

不自由な日々が続く中でも、私たちは旅を忘れない。旅もまた、私たちを忘れない。

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本誌担当編集/
杉江宣洋

本記事は雑誌BRUTUS923号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は923号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.923
新・ニッポン観光(2020.09.01発行)

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