5月初旬の立夏から芒種までの約1ヵ月間は暦上の初夏。日に日に暖かくなり穏やかな晴天が続くとともに、草木が新緑に覆われ潤いを増す。そんな5月は、京都では一番茶の新芽の収穫が始まり、高知の四万十川では川エビ漁が解禁に。いよいよ山の幸が旬を迎える。
四万十川の手長海老 ●高知県
四万十川に生息する体長8~9㎝の川エビは、立派なハサミを持つことからテナガエビとも呼ばれる。小枝を束ねた仕掛けを使う伝統的な柴漬け漁が、今なお続く。川エビの漁期は5月〜9月。殻ごと唐揚げや塩焼きにすれば、頭まで丸ごと食べられる。●高知県四万十市☎0880・35・4171(四万十市観光協会)
和束町の山岳茶畑 ●京都府
京都府の南に位置する和束町は、宇治茶生産量の4割を占める産地。傾斜地の茶園が多く、斜面に畝が巡らされた景観が特徴的だ。一番茶の収穫が最盛期を迎える5月は、旨味成分が多く柔らかい新芽にするため、日光を遮る黒い覆いをかけた風景が広がる。●京都府相楽郡和束町☎0774・78・0300(和束町観光案内所)
三種町のじゅんさい ●秋田県
水中に芽吹くエメラルドと称される、水深50~80㎝に生える野菜の一種。国内屈指の生産地・三種町では、白神山地から流れ込む水や地下水が湧き出る沼で栽培する。収穫期、小舟に乗った摘み手が一粒ずつ手で摘み取る姿は初夏の風物詩。●秋田県山本郡三種町☎0185・85・4830(三種町森岳じゅんさいの里活性化協議会)
行者にんにく ●北海道
アイヌネギの別名を持つユリ科ネギ属の多年草。北海道民にはお馴染みの山菜で、ネギのように香りが強く滋養強壮効果がある。近年の乱獲で激減し収穫まで最低5年はかかるため、幻の山菜になりつつある。天然ものが出回るのは4月中旬~5月いっぱい。さっと湯にくぐらせてから醤油漬けにして食べるのが一般的だ。
- 文/
- 兵藤育子、池田祐美子
- 編集・文/
- 坂本 愛
本記事は雑誌BRUTUS923号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は923号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。