【ネパールが来た!】OLD NEPAL TOKYO/タンドール&スパイス酒場 chachahui

グルマン温故知新

No. 923(2020.09.01発行)
新・ニッポン観光

“天空の国”ネパールの味を東京で。

米が主食、多彩な野菜やスパイスを多用する等の特徴があるネパール料理。片やネパール人オーナーが3店舗目を開店、片や日本人ネパール料理シェフが大阪から進出し、南インドやスリランカに次いで東京でも市民権を得つつある。優しめスパイス料理に昇天必至。

【OLD NEPAL TOKYO ●豪徳寺】温故知新なネパール料理店。

 和食の料理人だった本田遼さんがネパール料理に魅せられたのは、友人が働いていた地元・神戸のネパール料理店〈ククリ〉を手伝ったのがきっかけ。「一度くらいは行っておこう」と現地を訪れて最初に食べた「ダルバート」に心酔。帰国後は、〈ククリ〉に正式に勤めつつ年に1〜2回彼の地に滞在して、徹底的に食文化を学んだ。

「将来はネパールにも出店したい」という本田さん。

 2015年、大阪に〈ダルバート食堂〉を、18年にはスパイス販売も行う店〈スパイス堂〉をオープン。そして今夏、東京・豪徳寺に〈OLD NEPAL TOKYO〉を開いた。「インドやスリランカと比べて、使うスパイスの種類や量が少ないネパール料理は、日本人の味覚にも馴染む優しさが特徴」と本田さん。「ダルバート」は、季節の食材の食感や香りを重んじて緻密に組み合わせる。一方コース料理では、川魚の料理を日本ならではのアユに置き換えてキュウリのアチャールを添えるなど、新しい解釈も加味。いずれも魅力的だ。

ダルバート(チキンカレー+グンドゥルックのカレー)

熱々の豆のスープ(ダル)と炊きたてのご飯(バート)とメイン(カレー)に、サーグ(青菜の炒め)、アチャール、サラダを一皿に盛り付けたダルバートは、ネパール料理の代表格。「グンドゥルック」はネパール固有の発酵青菜。料理はすべて夜のコース2,700円の一例。ダルバート単品では1,500円。

カジャ①(スイカサデコ)

「サデコ」は「和え物」のこと。旬のスイカを酸味のあるスパイスで和え、泡状にしたミントのアチャールで爽やかに仕上げている。コースは前菜としての「カジャ」数種とダルバート、デザートで構成される。

カジャ②(盛り合わせ)

右から、キュウリのアチャールを添えたアユのフライ、葉ニンニクのアチャール。自家製チャットマサラを塗って焼いたポレコマカイ(焼きトウモロコシ)。左上の、圧力をかけてパフ状にした米「ブジャ」と一緒につまむ。

装飾を抑えた店内。落ち着いて料理を楽しめるよう席間もゆったりと。

【タンドール&スパイス酒場 chachahui ●武蔵小山】ネパール料理の幅広さを体験できる酒場。

 再開発が進み様変わりした武蔵小山の駅前に開店した〈チャチャフイ〉。かつてこのエリアにあり、現在は西小山に移ったネパール料理店〈バルピパル〉と同系列。オーナーのマハラジャン・ラジェシュさんが「武蔵小山は、人が温かくて大好きな街だから」と改めて進出した。

厨房で窯を操るシェフはマハラジャンさんの弟のニラジャンさん。

 単にネパール料理店ではなく“タンドール&スパイス酒場”と銘打ったのには理由がある。

「ネパール料理=スパイスを使う=カレーと思われがちですが、“ネパールの小籠包”といわれるモモを筆頭に、おつまみ料理もたくさんあるんです。そうした前菜や、タンドール窯で焼いた肉や野菜をスパイスと一緒に味わう楽しさを、もっと日本の人に知ってもらいたくて」とマハラジャンさん。

 タンドール料理用のスパイスを自分ですりつぶして準備する提案もユニーク。立ち上ってくる香りをまず嗅ぎ、その後料理につけて味わう。体験が伴うことで、味の記憶がぐっと色濃く。

タンドール窯で数十分かけて焼き上げた塊肉は、表面は香ばしく中はしっとり。クミン、コリアンダー、フェンネル、黒コショウなどのホールスパイスを、焼けるのを待つ間にミルですりつぶしヒマラヤ岩塩と一緒につけたり、傍らに添えてあるチリソースで食したりと“味変”を楽しんで。1,180円。

カトマンズのおつまみ盛り合わせ5種

上から時計回りに、羊のホルモン炒め、青菜炒め、羊肉のスパイス和え、大根と人参のアチャール、黒大豆。それぞれにスパイスやニンニクが効いて、メリハリのある布陣。中央はお米を干した「チウラ」が。1,080円。

スチームモモ

ネパールの国民食ともいわれる、羊肉の餡を包んだスナック。トマトベースで赤唐辛子の効いたソースをつけて。780円(Mサイズ)。Sサイズ400円もある。また「マトンスープモモ」「ベジモモ」といったバリエーションも。

1テーブルごとにパーテションで区切られている店内。
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OLD NEPAL TOKYO

電話:03・6413・6618
営業時間:11時30分〜14時30分、18時〜20時30分コースLO。
酒:ビール550円〜。ワイン(グラス)700円、(ボトル)4,200円〜。
価格:ダルバート1,100円〜。ディナーコース2,700円。デザート300円〜。
席数:カウンター7席。テーブル5卓12席。

東京都世田谷区豪徳寺1−42−11。月曜夜・火曜休。交通:小田急線豪徳寺駅から徒歩2分。2020年7月に開店。ランチはダルバートのみ。予約不可で記帳制。ディナーはコース利用の場合のみ予約可。ダルバート単品の場合は21時LO。本田さんは、今年ネパール料理のレシピ本を2冊出版するなど、自身が心揺さぶられた食文化を広めるべく、店の営業と並行して精力的に活動している。

タンドール&スパイス酒場 chachahui

電話:03・6426・2695
営業時間:12時〜14時30分LO(土・日・祝14時LO)、17時〜22時LO(土・日・祝16時〜)。
酒:ビール550円〜。ワイン(グラス)600円〜。自家製サワー650円〜。
価格:おつまみ300円〜。温かい前菜350円〜。タンドール料理480円〜。
席数:テーブル4卓15席。

東京都品川区小山3−15−1 パークシティ武蔵小山ザ・モール1F。水曜休。交通:東急目黒線武蔵小山駅から徒歩1分。2020年2月にオープン。ランチタイムにはカレーをメインにしたセットも。“酒場”と謳っているだけにネパールのビールや自家製のスパイスジンジャーサワー、ネパールのお酒を使ったカクテルやワインなど、アルコールも充実。すべての料理がテイクアウト可能。

photo/
Yoichiro Kikuchi
文/
小石原はるか

本記事は雑誌BRUTUS923号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は923号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.923
新・ニッポン観光(2020.09.01発行)

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