旅と地域

『星のや沖縄』海を近くに感じながら沖縄の自然と文化に触れる。(沖縄・読谷村)

旅のベースキャンプは最新ホテルで。

No. 923(2020.09.01発行)
新・ニッポン観光
マジックアワーの時間帯。〈星のや沖縄〉は、刻一刻と表情を変える豊かな自然に囲まれ、ドラマティックな瞬間が何度も訪れる。奥はラウンジやショップが入った「集いの館」。手前は24時間入れるインフィニティプール。
「グスクウォール」と客室棟の間をつなぐように畑と庭が広がる。アセロラ、グアバ、シークァーサー、ハイビスカスなど、沖縄で馴染み深い温帯、熱帯の植栽が植えられている。
1㎞ほどの海外線に沿って造られた〈星のや沖縄〉。中の客室棟を囲うように造られた壁は、沖縄のグスク(城)からインスピレーションを得て造られた「グスクウォール」。

時間から解放されて、暮らすように滞在する。

 那覇空港から車を走らせ北上すること約1時間。沖縄本島の中部、東シナ海に面した、カギ状に突き出た半島にその村はある。北端には景勝地である残波岬、東には緑濃い山並み、西は東シナ海に面した自然豊かなエリア。緩やかな丘陵傾斜地にある読谷村は、その名を聞けば、「やちむん(焼き物)」を思い浮かべる人も多いだろう。かつて読谷村の豪族であった泰期は中国に渡り、大交易時代を切り開いたという。以来、村は外来文化の入口として栄え、今も読谷山花織、やちむんなどの工芸品や民俗芸能など、琉球時代の伝統文化が色濃く息づいている。

 そんな沖縄の自然、歴史、文化がギュッと凝縮されたこのエリアに今年7月にオープンしたのが、国内外で8軒目となる〈星のや沖縄〉だ。コンセプトは「グスクの居館」。グスクとは琉球時代の城のことで、その多くは琉球石灰岩を使った壁に囲まれており、中に木造の建物があったという。「もしも海岸沿いにグスクがあったならば」という想定から、読谷村の美しい海岸線の景色を壊さぬよう設計がスタート。そのイメージ通り、長く続く海岸沿いには全100室の客室棟と、1㎞ほど続く「グスクウォール」が造られた。高さ4・5mの壁には、読谷村の伝統的な織物、読谷山花織の模様が描かれており、壁は海岸線と対になるようにエリア全体を包み込んでいる。

 目の前に広がる海岸は、沖縄でも珍しい自然海岸。“イノー”と呼ばれる豊かなサンゴ礁に囲まれた遠浅の海だ。客室はすべてオーシャンフロントで、大きな窓から心地よい潮風が抜け、どこにいても海を感じられるという魅力的な造り。部屋にある「土間ダイニング」は、大きなテーブルが置かれ、家族や友人とゆっくり団欒できる憩いの場所となる。料理もまた、レストラン以外にこの「土間ダイニング」でいただく「ギャザリングサービス」があり、シェフが下準備まで済ませた状態で客室へ届けてくれるので、あとは滞在者が調理家電を使って好きなタイミングで仕上げるだけ。ほかにも〈星のや沖縄〉のためだけに作られた工芸品やアートの鑑賞、琉球文化を体験できるアクティビティなど、リゾートの新しい過ごし方を提案している。

 季節や時間により、まったく違った表情を見せる空や海。風の音、木々の緑、花の色など、さまざまに変化する沖縄の自然を目に焼きつけながら、しばし時間から解放されてみる。暮らすように滞在しないとわからない魅力がここにはたくさんある。

客室で好きなタイミングで好きなものをいただける「ギャザリングサービス」。前菜からメインまで全33種のメニューから選べる。

長期滞在に最適な掘りごたつ式「床座リビング」付きの「フゥシ(星)」の客室。すべてに大きなテーブルのある土間ダイニングを配置。

海に向かって突き出た「テラスリビング」を備えた客室「ハル(畑)」。すべての寝室の壁には客室に合わせた琉球紅型が描かれる。

空手発祥の地、沖縄。琉球空手を「島の手習い」のアクティビティとして、基本の型からその心を学ぶプログラム。初心者でも参加可。

到着したら旅人の疲れを癒やすとされる「ぶくぶく茶」をいただく。沖縄古来の風習で茶は炒り米とさんぴん茶を混ぜて泡立てたもの。

琉球時代の衣装「ドゥジン」と「カカン」をモチーフにした制服を着たスタッフがおもてなし。グスクの居館の滞在を演出してくれる。

深海をイメージした幻想的なレセプション。入口では、沖縄を代表する作家、大嶺實清による「未来シーサー」のアートが出迎える。

ダイニングでの夕食は、シチリアの伝統料理の技法で、沖縄の食材の魅力を引き出した創作料理のコース「琉球シチリアーナ」を堪能。

「集いの館」では夕方から毎日、琉球舞踊や空手演武などの伝統芸能を披露。予約不要なので、ラウンジでくつろぎながら鑑賞したい。

全長40mの開かれたインフィニティプール。海や空と一体になる感覚を味わえる。

ローカルおすすめ、読谷スポット。

『ギャラリー』松田米司の器とコーヒーが楽しめる空間。

読谷村のやちむんの里にある北窯の作家、松田米司の作品を中心に扱う〈tou cafe and gallery〉。コンクリート打ち放しの外観は、モダンな美術館のような佇まい。カフェではカレーやケーキが人気。●読谷村伊良皆578

『カフェ』敷地面積1,600㎡! 海を見渡す絶景カフェ。

海を見渡す崖の上から浜辺へと続く絶景を楽しめる〈星野リゾート バンタカフェ〉。海風を感じる海辺のテラス、植物に囲まれた岩場のテラスなど、4つのエリアを自由に楽しめる。メニューも豊富。●読谷村儀間560

『パン』体に優しい原材料で作る、人気パン店。

ベジタリアン、グルテンフリー対応のパンも多数ある〈ぱん工房おとなりや〉。店主の齊藤隆之さんが安心安全な原材料で作る、もちもちとしたパンが人気。すぐ売り切れてしまうので午前中が狙い目。●読谷村瀬名波633−2

『器』新しい「やちむん」。読谷の新進作家に注目。

陶芸界には新しい潮流も。作家は沖縄で修業した移住組も多く、それぞれに工房を構えるなど活動する。

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photo/
Masanori Kaneshita
text/
Chizuru Atsuta

本記事は雑誌BRUTUS923号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は923号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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