ライフスタイル

コロナ禍で浮き彫りになる、切ない格差。

生島淳の僕しか知らないアスリートの秘密

No. 922(2020.08.17発行)
お金、ちゃんと使えてる?

 メジャーリーグの話。新型コロナウイルス禍の影響で、今季の開幕は7月下旬にずれ込んでいたのだが、キャンプ中も各球団から陽性者が相次ぎ、「本当にできんのかね?」という状況に。実際、球団が本拠地を置くフロリダ、テキサス、アリゾナでは感染拡大が止まらない状況になっていた。

 するとドクターXばりに、「今年はプレーいたしません!」と宣言する選手が出てきた。今季、ドジャースに移籍したばかりのデヴィッド・プライスは「家族の健康など様々な要素を考慮し、今季はプレーしないことに決めた」と声明を出した。ドジャースとしてはびっくりだろうが、これも選手に認められた権利。個人の尊重。このあたり、アメリカらしい。

 では、給料はどうなるのか? 調べてみたら、プライスの今季の年俸は162試合が行われたとして3200万ドル。日本円で32億円以上だ。今季は試合数が減らされたので年俸も減少するのだが、それでも11億円は下らない。プライスは、「いたしません」ということで、この年俸も放棄してしまったのだ。

 なんという思い切った決断と思ってしまうが、大型契約を結んでいるビッグネームだと、大胆なことがサラリとできるのだろう。むしろ、メジャーの当落線上にいる若手はお金がないからプレーするしかない。新型コロナウイルス禍は、プロスポーツの経済格差も浮き彫りにしているのであります。

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いくしま・じゅん

スポーツジャーナリスト。近著に『どんな男になんねん』などがある。

イラスト/
土車大八

本記事は雑誌BRUTUS922号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は922号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.922
お金、ちゃんと使えてる?(2020.08.17発行)

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