三浦直之です。前回教えてもらった『デトロイト ビカム ヒューマン』、ゲームは10年以上ぶりだったので、映像の完成度に驚かされました。「人間に反旗を翻すアンドロイドを人間(プレーヤー)が操作する」構図も興味深いですね。今回はPC体験版でしたが、ついにプレステを買う時が来たのかもしれません。お返しに、今年一番泣いた小説、サラ・クロッサンの『わたしの全てのわたしたち』を激烈にオススメします。腰から下がつながった結合双生児、グレースとティッピを主人公に、普通とは違うけれど幸せな青春が全編詩で綴られた作品です。翻訳家の金原瑞人さんが訳し、それを詩人の最果タヒさんが書き直していることも注目すべきですが、登場人物が皆前向きでとにかく魅力的。読みながら頭の中で「好きだ!」と叫び続けてしまいます。物語の悦びと詩の力を同時に感じられる、とてつもない作品です。
『わたしの全てのわたしたち』サラ・クロッサン/著 最果タヒ、金原瑞人/訳
16歳の結合双生児の瑞々しく切ない青春を描いたヤングアダルト小説。原作は2016年のカーネギー賞を受賞。ブックデザインは祖父江慎が担当。ハーパーコリンズ・ジャパン/1,700円。
- 編集・文/
- 福島絵美
本記事は雑誌BRUTUS922号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は922号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。