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日本人は自分を見失い、病んでいると思うんです。|デヴィ・スカルノ(最終回/全五回)

TOKYO 80s

No. 922(2020.08.17発行)
お金、ちゃんと使えてる?

 子供の頃からフランスにまつわる文学をよく読んでいました。スタンダール、バルザック、ラファイエット夫人、シュテファン・ツヴァイク……。それらが私の血となり肉となり、パリの貴族社会の歴史や伝統が身についていた。だからパリに着いてすぐに、魚が水を得たように泳ぎ回ることができたんです。ジャカルタでの最初の3年間は愛人生活だったので時間があり、フランス語とピアノを習っていたんです。赤坂のサパークラブ時代の経験も社交界で役立ちました。どのように海外の名士方とお付き合いするのか? 私は外国にいるときは日本人とは一切付き合わない。それがまず第一ですね。あと、私がラッキーだったのはマダム・ラ・プレジドンという肩書と地位があり、若くて綺麗である程度の財力もあった。ただ一人の東洋人でしたけど、日本人とは思われてなかったですね。「あなた日本語できるの⁉」って驚かれたことがあります。私の人生は偶然ですけど、10年ごとに場所が変わっているんですよ。70年までがインドネシア、その後の10年はパリ、また80年にインドネシアに戻って90年にニューヨークへ。そして東京には2000年から。いろんな国に住んできて不満に思うのは、日本がいつまでもアメリカの属国であること。そして日本人は自分たちを見失っていて、病んでいると思います。こんなに我が子を殺す民族はいませんよ。乳児、幼児、児童を虐待死させる。それから警察官の不祥事、先生の質の低下。物質があまりに豊かで精神がついてこないとこういうことになる。今までの人生を一言で表すなら、駆け足(笑)。私ね、皆さんに病気をしたことがないと言うんです。病気になってる時間がなかったんですよ。時間を無駄にするのが嫌で、ちょっとでも時間があると何か入れちゃいますね。それから、もし天からお金がたくさん降ってきたら山を2山くらい買って、恵まれない動物たちを飼ってあげたいと思っていたんです。でも、坂上忍さんが先になさったらしいのね。小池(百合子)都知事は東京での殺処分は0になったと言いますけど、実際は違うと思うんです。売れ残った犬猫は、闇から闇に葬られていることもあるでしょう。私が唱えているのはブリーダーをライセンス制にして、買う人も登録制にするべきだと。そしたら最後まで看取る義務と責任が生じますよね。そうすればいいと思うんですよね。(了)

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デヴィ・スカルノ

スカルノ元大統領夫人。著書に『選ばれる女におなりなさい』などがある。

PHOTO/
SHINGO WAKAGI
TEXT/
KUNICHI NOMURA
HAIR&MAKE/
MAKIKO GOTO
EDIT/
HITOSHI MATSUO

本記事は雑誌BRUTUS922号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は922号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.922
お金、ちゃんと使えてる?(2020.08.17発行)

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