アート

Medallion(YouWe)(1937)|グルック

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 921(2020.08.03発行)
いい自転車。
© Hans Haacke/Artists Rights Society (ARS), New York

「あら、素敵な横顔ね~」という第一印象の上のお2人、実は女性なんです。短く切った褐色の髪をぴっちりと撫でつけたスタイルがイケてる、手前に描かれた人物。そう、彼女が“グルック”という愛称で知られるこの絵を描いたイギリス人画家です。本名はハンナ・グルックシュタイン(1895~1978)。レズビアンだったこともあり、姓名から「性」を感じさせる部分を取り払い、グルックという名を好んで使ったといいます。ちなみに後ろにいる金髪の女性は、同じくアーティストのネスタ・オバーマーという人物。“妻”としてよくグルックの絵に登場しています。それにしても2人の視線はどこへ向けられているのでしょうか(よく見るとそれぞれの視線の先は異なるのですが)。実はこの作品、モーツァルトのコンサートに出かけた場面を描いたもので、演奏を聴いていると、2人が一体になった瞬間を感じたんだとか。羨ましいですね。2人を描いた1人の“自画像”というわけで、画家のステートメント作品ともいえそうです。

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文/
中村志保

本記事は雑誌BRUTUS921号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は921号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.921
いい自転車。(2020.08.03発行)

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