佐久間です。今回のお相手は、劇作家の三浦直之さん。ロロの演劇は大好きで、2011年の『グレート、ワンダフル、ファンタスティック』以来ほぼすべて観ています。三浦さんの作品にはよく、ノスタルジックなゲームやカルチャーが引用されるので、あえて真逆の現代最高峰と言えるアドベンチャーゲーム『デトロイト ビカム ヒューマン』を選んでみました。アンドロイドの排斥運動が進む2038年のデトロイトを舞台に、自我に目覚めつつある3体が生き残りを図る物語。従来のゲームとは一線を画す無数の選択肢があり、それが連鎖してほかとは異なる結末が訪れるので、没入感がすごいんです。人生の複雑さを表すと同時に、この「選択」という手法により、映画やアニメの再現ではなく、ゲームでこそ語るべき物語になっている。その精神性は、演劇ならではの物語を模索する三浦さんとも通じる気がしています。
『Detroit: Become Human』
近未来の高度テクノロジー社会を描いたオープンシナリオアドベンチャーゲーム。2018年にPlayStation 4用ソフトとして発売し、2019年以降はPC版も配信中。監督・脚本:デヴィッド・ケイジ/開発:クアンティック・ドリーム。
- 編集・文/
- 福島絵美
本記事は雑誌BRUTUS921号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は921号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。