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ジャンルを飛び越え古今東西の音楽が並ぶレコード店が誕生。〈 pianola records 〉

BRUTUSCOPE

No. 921(2020.08.03発行)
いい自転車。
pianola records
pianola records

音楽との出会いが地続きであるために。

 緊急事態宣言が出される直前の4月1日、下北沢に新しく誕生した話題の商業施設〈ボーナストラック〉の一角にそのレコード店はオープンした。その日は平日、さらにはかなりの悪天候だったにもかかわらず(ヴァイナルジャンキーは雨の日を嫌う)、たくさんの人がその店に集まってきた。

 店の名は〈pianola records(ピアノラ・レコーズ)〉。といっても、レコードだけでなく、CDやカセットテープなども置いてあるのだが、店主の國友洋平さんの選りすぐりの音楽が並ぶ。とはいえ、そこにあるのは、実験音楽、電子音響、フリージャズ、フォークロアといった一般にはあまり馴染みのない音楽ばかりだ。そのうえ、店内を眺めてもジャンルごとの仕切りもなく、そうした音楽がごっちゃに並んでいる。

「人ってどうしても“ジャンル”というものを意識して音楽を聴くところがあると思います。でもそれだと、その音楽の本来持っている面白さとか可能性を狭めてしまうような気がしていて。だから、うちでは、お客さんにもっと自由な気持ちで音楽に接してもらえたらと思って、あえてジャンルごとの仕切りはなくしているんです」

 そのせいか、客は店主によく話しかける。そして、彼は客のリクエストに合わせ、古今東西のマージナルな音源から絶妙な音楽を選び出してくれるのだが、その当意即妙のやりとりが何とも快い。それは、サブスクリプションとは全く異なる音楽との出会い方だろう。

〈pianola records〉に来れば、そんな未知の魅惑的な音楽との出会いや発見がきっとあるはずだ。

店主推薦! レコードの奥深い世界へのきっかけをくれる2枚。

「アリエル・ラミレスというアルゼンチンのピアニストのレコードなんですが、演奏の合間にタップダンスの“タップ”が入っていてユニークな演奏です。」

「かの有名な『美しく青きドナウ』を、ヨーロッパの曲者音楽家たちが思い思いにカバーしたレコード。ジャケットの作りにも遊び心が施されていて、凝っています」

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pianola records

國友さんは〈conatala〉というレーベルも立ち上げ、1980年代の幻のユニット〈Pale cocoon〉の再発なども手がけたことで、世界的に注目されている。●東京都世田谷区代田2−36−13 BONUS TRACK, SOHO 2。14時〜21時。木曜休。詳細は公式HPへ。https://pianola-records.com

photo/
Yu Inohara
text/
Mikado Koyanagi

本記事は雑誌BRUTUS921号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は921号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.921
いい自転車。(2020.08.03発行)

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