紅茶とグルテン&ラクトースフリーのお菓子を。〈TEATON〉

BRUTUSCOPE

No. 921(2020.08.03発行)
いい自転車。

石川県加賀市に誕生した〈TEATON〉の魅力を大解剖。

鶴見 昂(左) 坂矢悠詞人(中) 大西 進(右)

 小松空港から車で約10分。田畑に囲まれたロケーションに、ぽつんと佇む白い箱。目の前には日本海の大海原が広がる。

「このロケーションが、最高でしょう。この土地で〈PHAETON〉というセレクトショップを始めて10年になりますが、幸せなことに全国各地、海外からもお客様が足を運んでくれるようになりました。遠路はるばる訪れてくれるお客様をもっとおもてなししたいのに、買い物だけでは滞在時間が限られてしまう。この場所をもっと楽しんでもらえる空間を作りたい。積年の思いをやっと実現したのが、この〈TEATON〉です」

 石川県を拠点に洋服や香りのセレクトショップを営むオーナーの坂矢悠詞人さんは、その独自の審美眼でコアなファンを魅了している。数年前からグルテンフリー、ラクトース(乳糖)フリーの生活を送っている彼が手がける新店は、その両方をクリアしたスイーツと紅茶が楽しめるティーサロンだ。己の美学を貫き、一切の妥協を許さない坂矢さんが手がける店とあって、〈TEATON〉には並々ならぬこだわりが詰まっている。職人技による左官仕上げの壁に、カウンターから境目なく仕上げられたテラゾー(人造大理石)の洗い出しは圧巻。メキシコ製の「エキパレスチェア」が窓辺に鎮座し、窓の外には〈THE LITTLE SHOP OFFLOWERS〉の壱岐ゆかりによる庭と、のどかな田園風景が広がる。壁の奥には黒漆喰が見事な展示スペース兼茶室となる小部屋が隠されており、メインフロアとのコントラストがドラマティック。グラスと皿は、金沢のガラス作家〈factory zoomer〉の辻和美によるオリジナルで、ポットは地元・石川県が世界に誇る洋食器メーカー〈NIKKO〉と一緒に作ったもの。そんな特別なしつらえの中で楽しめる紅茶は、〈teteria〉を主宰する大西進によるオリジナルのドリンク。スイーツは、〈FLAVÉDO par Lisette〉で知られるパティシエの鶴見昂が小麦粉と乳製品を使用しないメニューを開発。

「僕が紅茶にハマったのは、〈teteria〉の紅茶と出会ったから。大西さんが淹れる紅茶の味も、お茶を淹れる所作も使う道具一つ一つも、実に美しく惚れ惚れします。そして大阪で初めて鶴見さんが作るキャロットケーキを食べて、“瞬目惚れ”。今回は無理を言ってグルテンフリー、ラクトースフリーのお菓子作りに挑戦してもらいましたが、流石の一言ですね。僕が何かを始めるときに大切にしているのは、見まくり、食べまくり、触りまくり、感じまくること。そして惚れ込んだものをとことん追求する。この〈TEATON〉が完成できたのは、信頼する2人と出会えたおかげです」

 唯一無二のロケーションで過ごす、ここでしか味わえないひととき。これまでも、ショップの枠にとらわれず、トークショーや茶会など顧客と共に体験する学びの場を提供してきたが、〈TEATON〉はまさに彼の理想を形にした空間。常に面白いことを仕掛ける坂矢さんは、ブランド10周年を機に「学び」に重点を置いた雑誌『大勉強 by PHAETON』も創刊。北陸へ旅する目的が、また一つ増えた。

TEATON

イートインはセットメニューで2,500円、4,200円(共に税込み)のいずれかからチョイス。*イートインは会員制。13歳未満は利用不可。●石川県加賀市伊切町い239☎0761・75・7535。11時〜18時(17時LO)。不定休。http://www.teaton-co.com

10周年目の〈PHAETON〉、 『大勉強』創刊

広い知的欲求でモノゴトの真髄を探るべく、「学び」に重点を置いた雑誌『大勉強 by PHAETON』を創刊。初号ではブランド紹介を兼ねて店舗にゆかりのある金沢、加賀、小松を特集。〈PHAETON〉をはじめとする各店頭、オンラインストアや〈代官山 蔦屋書店〉などで取り扱い中。1,000円(税込み)。

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つるみ・たかし

パティシエ東京〈Café Lisette〉、大阪〈ELMERS GREEN〉などのカフェをプロデュース。2016年熊本市で地元の果物を使ったジャムやパフェの店〈FLAVÉDO par Lisette〉をオープン。

さかや・よしひと

〈TEATON〉オーナー。石川県を拠点に〈PHAETON〉〈Porter Classic 金沢〉〈Leto〉〈PHAETON FRAGRANCE LONGBAR〉〈OLD JOE 金沢〉などを運営。https://www.phaeton-co.com

おおにし・すすむ

〈teteria〉主宰。デイリーな紅茶から特別な一杯まで、紅茶をこよなく愛する。静岡県沼津市にアトリエを構え、紅茶を中心とした茶葉の卸販売や教室を行う。http://teteria.shop-pro.jp

photo/
Yoshihito Sakaya, PET
text/
Chisa Nishinoiri

本記事は雑誌BRUTUS921号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は921号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.921
いい自転車。(2020.08.03発行)

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