【最強の朝食を。】日本人男性でたった一人UFCに挑戦する格闘家・佐藤天のモーニングルーティーン。

「最高の朝食を。」BRUTUS.jp特別記事

No. 920(2020.07.15発行)
最高の朝食を。
SANFORD MMAでの練習後の一枚。中央にいるのが佐藤天。

アメリカの総合格闘技団体UFCで、現在日本人男性でたった一人挑戦を続ける格闘家・佐藤天(29歳)。
今年の6月28日(日本時間)に開催された「UFCファイトナイト・ラスベガス 4」のウェルター級マッチでアメリカ人のジェイソン・ウィット選手を第一ラウンド48秒でTKO勝ち。そんな佐藤のことを青木真也、那須川天心など日本の名だたる格闘家たちがエールを送っている。
今回のBRUTUS.jp特別記事では、異国の地で、世界中の猛者たちと戦う佐藤のモーニングルーティーンについて迫ります。

強くなるルーティーン。

佐藤はアメリカ・フロリダ州にある、UFCを目指す格闘家たちが一緒に住むシェアハウス「ファイターズハウス」に、アメリカ人のスティーブ、トム、ディランと4人で暮らしている。プールと大きな庭がついた一軒屋に、ファイター同士が一緒に練習をして、食べて、よく遊び(?)、お互いを高め合いながら暮らす。そんな戦う男たちの朝はストイックだ。

「ファイターそれぞれに決まった朝のルーティーンがあるので、朝食は基本一人です。僕の場合は、8時30分くらいに起きて、近所にあるオーガニックフードのお店<Living Green>のアサイーボウルとパンを食べます。朝は少ししか食べないけど、練習前なので炭水化物も少し入れるのと、フルーツは栄養価が高いので積極的に摂取しています。あと、毎朝インスタントコーヒーにプロテインを入れて飲むのも日課。カフェインを摂取することで脳が目覚めて、午前中の練習のキレが違うんですよ。<マッスルテック>というメーカーにキャラメル味のプロテインがあるんですけど、これがコーヒーに入れると美味しいんです」

「アメリカって日本に比べて味が濃い! この糖分たっぷりのココナッツは食べると目が覚めます」

「ちなみにルームメイトのスティーブは毎朝、果物とプロテインで作ったスムージーを飲んでいます。アメリカ人のファイターの朝食はスムージーとか、シリアルが多いかな。実は朝はプロテインだけって人もいるくらい、ファイターは朝食べないんですよ」

ルームメイトのスティーブお手製のバナナとプロテイン入りのスムージーで乾杯。

夜は1ポンドステーキとビールで宴会になることも。

朝の10時半、佐藤たちが住む家からも近いSANFORD MMAジムで練習が始まる。このジムにはUFCやBellator MMA(UFCに次ぐ総合格闘技団体)で活躍するファイターが約50人在籍。午前中は打撃、グラップリングなど技術練習がメイン。ハードな練習を終えて、再び食事の時間だ。

「朝あんまり食べないので、練習終わりの“昼食”が僕にとっての“朝食”みたいなものなんです。他の選手もきっと同じ感覚なんじゃないかな。お昼は脂分をなるべく減らして、高タンパク質のターキー(七面鳥)やバイソン(巨大な牛)を食べるかな。1日にタンパク質を180g摂取するようにトレーナーから言われているので(*)、量はたくさん食べますね。やっぱり食べないと身体がデカくならないし、勝てないからね」
*……タンパク質180グラムとはサラダチキンだと9個分。

午前中はハードな打撃練習が多いので、終わった後の食事は美味!

鶏肉の入ったホットサンド。写真だと分かりにくいが一つが手のひら以上のサイズ。

試合前のルーティーン。

日本ではDEEP、PANCRASEに出場し、16戦、14勝、2敗。UFCに出場してからの佐藤の戦歴は3試合、2勝、1敗。日本では若手実力派と呼ばれてきた佐藤だが、世界の壁はとてつもなく高い。だからこそ、食生活にも気を使う。

「試合が決まった減量期間中は、炭水化物を減らして、肉をたくさん食べてタンパク質を摂取します。体重を絞らないといけないけど、食べないと力がつかない。だから、肉を食べてひたすらトレーニングして、戦う身体に絞っていきます。大好きなお酒も、試合が決まってからの1ヶ月は禁酒。試合3日前になったら水も少しずつ減らしてさらに追い込みます。無事、軽量が終わったら1日かけて体重を戻します。水をたくさん飲んで、うどんを5玉は食べますね。これは日本にいた時から、続けているジンクスで、麺をすすると力が漲るんです」

日本から遠く離れたアメリカの地で、佐藤はうどんを食べながら故郷に思いを馳せる。

「試合前は必ず、家族、友達、支援してもらっている方々に連絡するんです。『試合をするから見てね』って。支えてくれている人たちのためにも、日本人が強いということをUFCのリングで証明しないといけない。お世話になった人がいるから、僕はこの場所に立てているので、まだまだ頑張らないといけない」

試合目に食べるうどんはシンプルに具なし。

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さとう・たかし/1990年東京都生まれ。大学生まで柔道を習い、卒業後は日本の総合格闘技の団体DEEPで活躍。2019年4月からフロリダ に移住して、UFCのリングに上がる。

Text/
Eisuke Onda(BRUTUS.jp)
Photo/
Takashi Sato

本記事は雑誌BRUTUS920号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は920号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.920
最高の朝食を。(2020.07.15発行)

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