アート

Untitled (1969)|ルチータ・ハルタード

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 920(2020.07.15発行)
最高の朝食を。
©Luchita Hurtado Courtesy of Hammer Museum

 1920年ベネズエラ生まれの画家、ルチータ・ハルタード。幼少期に移民として米国へ渡り、現在はサンタモニカに住んでいます。描くこと、なんと80年。イサム・ノグチ(1904〜1988)やフリーダ・カーロ(1907〜1954)らとも親交が厚かったというから、その月日を感じさせますね。99歳となった現在も大規模な個展を開くなど、精力的に活動を続けている驚きのお婆ちゃんです。さて、そんな彼女、ちょっと変わった自画像を多く描いているんです。上の作品に描かれているのは、カラフルな幾何学パターンが特徴的な「ナバホ柄」のラグと、そこに置かれた円形のカゴ。しっとりとした肌を思わせる肢体とのコントラストが面白いですね。でも残念ながら、顔は見えません。そう、鏡に映る自分の姿ではなく、上から見下ろした“実際に見える”自身の体を描いています。どこかに映(写)った時点で“私”は既に“私”ではなくなってしまうもの。自分の顔が見えない自分が見るものにこそ、リアルは宿っているのかもしれません。

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文/
中村志保

本記事は雑誌BRUTUS920号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は920号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.920
最高の朝食を。(2020.07.15発行)

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