表現を謳歌する舞台はホテル。
ここ数年、アートやデザインを切り口にした創造性の高いホテルが続々登場。その勢いは止まらず、東京では、さらに大胆な表現の場に振り切った施設が誕生している。
まず、ホテル空間全体をアートの「見せる収蔵庫」にしてしまったのがKAIKA 東京。築54年の倉庫ビルを再生した建物の共用部分を、中目黒のVOILLDら気鋭のギャラリーが自らの所蔵作品の公開保管スペースとして利用。また、新しい才能を「開花」させるべく、館内に展示するアート作品の公募も行った。プロデューサーの白崎達也は「ギャラリーは目的性が高く、関心がないとあまり訪れない場所。しかしホテルというグローバルな場と交わることで、思いがけない出会いを作り出せると思います」と話す。
一方、客室に第一線のクリエイティビティを施したのがhotel Siro。MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOを中心に、今の建築デザインシーンを牽引する3つのチームが三者三様の部屋を作り上げた。ホテルオーナーいわく、「目指したのはスイスの7132ホテル。ここは偉大な建築家、ピーター・ズントーが全体をプロデュースし、各部屋を本人はもちろん、安藤忠雄や隈研吾、トム・メインら世界的な建築家が手がけました。建築デザイン好きなら憧れるあの場所を日本で実現したいと考えました」とのこと。
一晩眠るだけ、ではない、ホテルの変革から目が離せない。
アーティストたちの未来を拓く。『KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS 』
①は1階共用部分。6つのギャラリーの公開アートストレージのほか、通路を隔てたSTORAGE1では随時企画展を実施。〜8月16日、舘鼻則孝『FORM AND COLOR』展を開催中。②客室は、ストレージらしいシンプルでスタイリッシュな雰囲気を踏襲した内装。●東京都墨田区本所2−16−5☎03・3625・2165。全73室。
デザイナーたちの個性が溶け合う。『hotel Siro』
- text/
- Emi Fukushima
本記事は雑誌BRUTUS920号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は920号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。