【夫婦ナチュラルワイン】Qkurt/Quec'estbeau

グルマン温故知新

No. 919(2020.07.01発行)
東京の正解

夫が料理、妻がサービス。普段使いのニューフェイス。

食堂やラーメン屋も夫婦で切り盛りするのは昔っから。「予約なしで入れる気軽な店」を目指す清澄白河のビストロ。「時間を忘れて食事を楽しんで」とコースを供する飯田橋のイタリアン。おしどり夫婦が醸し出す柔らかな雰囲気が、ナチュラルワインによく似合う。

【Qkurt ●飯田橋】リストランテ級の料理をカウンターでカジュアルに。

 都立大学〈カンティーナ カーリカ・リ〉で4年の経験を積んだ角田直也さん。旺盛なホスピタリティは引き継ぎながら、料理のスタイルは独自の路線へ。

角田さん(右)と、パンとドルチェ担当という妻の菜美子さん。

 メニュー内容は仕入れ次第で、即興も厭わない構え。群馬の野菜に氷見の魚、喜和味牛と選りすぐりの食材だからこそあれこれ重ねず、シンプルに仕立てる。自家製タリアテッレなら生ウニでとろみをつけ、ピマン・デスペレットをはらり。サラダのドレッシングにするマンゴー果汁のビネガーもそう。驚きのある工夫を忍ばせるテクニシャン。絵皿使いがなんだか新鮮で、器の中はリストランテのようなちょっとよそ行きの雰囲気だ。

「料理とワインの相性は個人の主観が強いもの。あえてペアリングは設定せず、グラスで色々楽しめるよう、どんどん抜栓しちゃいます」と、気前がいい。

 本格始動したこれからは、コース一品一品の精度を上げていき、完結された「腑に落ちる」料理を探求中。期待していい。

近江 木下牧場 喜和味牛のタルタル

サシを追い求めず、自家配合飼料で丹精込めて肥育するという滋賀・近江〈木下牧場〉の喜和味牛を使用。低温でコンフィにしてから表面を炙り、焦がした部分とレアな部分を合わせてタルタルに。サマートリュフのスライスを添えて。赤身肉から驚きの旨味が炸裂する。料理はすべて5,500円のコースから。

イサキのパンツァネッラ

パンツァネッラは、トマトとパンを使ったトスカーナ地方のサラダ。長崎県五島列島の神経締めしたイサキは皮目に焼き目をつけて、旬の野菜もふんだんに。マンゴー果汁のビネガードレッシングで和えてさっぱり夏らしく。

自家製タリアテッレ 生雲丹

北海道産の生ウニは、ゆでたてパスタの熱を軽く加える程度で止める。仕上げにフランス・バスク地方の唐辛子、ピマン・デスペレットで風味づけ。穏やかな酸味のある温かなガスパチョのソースで、軽やかな味わいに。

幅広のカウンター席。入口付近の4席のみ対面の利用が可能。

【 Quec'estbeau ●清澄白河】界隈のハブになる、楽しい町場のビストロ。

 東京・新富町を賑わせた〈カレーとワイン ポール〉(閉店)には続きがあった。新宮朋樹さんと未奈さん夫婦。今を時めく清澄白河で、天井高の古い車庫をリノベーション。抜け感のあるワイン酒場をオープンした。

奥がシェフの新宮さん。妻の未奈さんはワイン担当でムードメーカー。

 イメージしたのは「パリのビストロ」。アラカルトでリエットやパテ、フレンチフライにコンフィがオンメニュー。例えば、肉々しいステーキもソースで着飾るのでなく、塩、コショウ、ビネガーやレモン、マスタードでドレスダウン。野菜の惣菜やしらすと青唐辛子のオムレツも味の輪郭はしっかりと、愛嬌のある盛り付けもいい感じ。

 ワインは未奈さんが偏愛するナチュラル推し。笑顔と一緒にグラスを満たす。「店名の通り、美しいガゼボ(あずま屋)のような空間になれば」と新宮さん。スタンディングもあるし、ゆくゆくはソファも置き、ご近所さんが散歩がてらフラリ立ち寄れるようにする。下町のホットステーションを実現中だ。

豚肩ロースのロティ

焼いても硬くなりにくい肩ロース肉は厚切りで。「肉の表面はしっかり焼き固めてガリッとさせたい」と新宮さん。狙いを定めた火入れで、中はしっとりジューシーに。肉本来の持ち味が凝縮して、食べ応えも満点。付け合わせのマッシュポテトはたっぷりと。レモンを搾って爽やかに召し上がれ。2,500円。

野菜の惣菜盛り合わせ

右上から時計回りに、キャロットラペ、エノキのマリネ、レンズ豆のサラダ、プチトマトのマリネ、オクラの塩ゆで、赤キャベツのマリネ、ゆで卵。品数は大体これくらい。季節の食材に合わせて内容は変更。1,600円。

しらすと青唐辛子のオムレツ

直径20㎝のフライパンで強火で一気に仕上げるという人気メニュー。立ち上がった縁は香ばしく、センターはトロッフワッの食感。卵の滑らかな口当たりとシラスの塩っけがナチュラルワインにピタリとハマる。900円。直径20㎝のフライパンで強火で一気に仕上げるという人気メニュー。立ち上がった縁は香ばしく、センターはトロッフワッの食感。卵の滑らかな口当たりとシラスの塩っけがナチュラルワインにピタリとハマる。900円。

時間の経過で雰囲気の違いが楽しめる開放的な店内。

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Qkurt/カート

電話:03・6877・3942
営業時間:18時〜22時LO。
酒:ビール600円、ワイン(グラス)1,000円〜、(ボトル)5,000円〜。
価格:コース(7品)5,500円。
席数 :カウンター10席。

東京都新宿区下宮比町3−12 明成ビル1F。日曜休。東京メトロ飯田橋駅C1出口から徒歩5分。2019年12月20日オープン。コースは前菜3種、パスタやリゾット等のプリモピアット2種、メインディッシュ、ドルチェの計7品(前日までの要予約)。ナチュラルワインはイタリア産を約300〜400種。自家製パン200円、宮崎県で自然栽培する〈宮崎茶房〉の、「本日のお茶フリー」1,500円もおすすめ。

Quec'estbeau/ガゼボ

電話:03・6240・3901
営業時間:17時〜未定。
酒:ビール660円、ワイン(グラス)1,000円、(ボトル)6,000円〜。
価格:前菜1,000円〜、シャルキュトリー500円〜、メイン2,000円〜。
席数 :カウンター5席、テーブル8卓18席。

東京都江東区平野1−13−9。水曜休。東京メトロ清澄白河駅A3番出口から徒歩8分。2020年4月中旬プレオープン。フロマージュ単品550円、盛り合わせは3種1,300円、5種2,000円、牛カイノミステーキ3,000円、OVALのパン1人前350円。ワインはフランス産がメイン。グラスのバリエーションは常時10種類ほどで、1,000円均一。ボトルはその時々でおすすめを紹介するスタイル。

記載した価格はすべて税込みです。営業形態、営業時間等は変更になることがあります。

photo/
Yoichiro Kikuchi
文/
粂 真美子

本記事は雑誌BRUTUS919号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は919号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.919
東京の正解(2020.07.01発行)

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