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TOKYOメイドの日用品。

日用品の正解

No. 919(2020.07.01発行)
東京の正解

江戸の頃から東京は職人の街。今でも下町を中心に手仕事の技術を踏襲したモノ作りの伝統が生きている。使い勝手を考えたシンプルなデザインが東京生まれの日用品の特徴だ。審美眼に長けた選者2人による逸品図鑑。

『選んだ人』
日野明子 ●クラフトバイヤー
大谷優依 ●インテリアスタイリスト

ALLOYのコーヒードリッパー[Fin]

三角形の穴が開いた円形プレートに、3枚の台形プレートを差し込んで組み立て。シンプルで利便性のいいステンレス製のコーヒードリッパーは、蔵前を拠点とするプロダクトデザイナー山崎勇人がデザインし、同地域の金属加工場にて製作。「このドリッパーは場所を取らないので収納に便利。携帯性にも優れているのでキャンプに持っていきたくなります」(大谷)。3,000円。
●アロイ/台東区浅草橋3−29−5☎03・6231・6966。13時〜18時。日曜〜木曜・祝日休。

KIMOTO GLASS TOKYOのRondes ペアグラス

1931年に創業したガラス製品問屋〈木本硝子〉。下町のガラス職人と協力し、問屋の視点から現代の生活に合った製品作りを進めている。ペアの酒グラスは、どちらも高さ65㎜と手のひらサイズ。「夏に向けて冷酒を飲みたくなります。薄いので口当たりも滑らか。均一にこの薄さにするのは難しいと思うので、職人技術の高さを感じます。形もかわいい」(大谷)。5,000円。
●木本硝子/台東区小島2−18−17☎03・3851・9668。10時〜17時。土曜・日曜・祝日休。

伊藤バインダリーのドローイングパッド

墨田区に工場を持つ製本会社のオリジナル。「信頼するデザイナー、真喜志奈美さんがデザイン。奈美さんから、スケッチしたものをさっと切ってそのままスキャンできるよう考えたと聞きました。きっちり整った側面に、きれいに切り取れるマイクロミシン加工の気持ちよさ。さらに、しっかりしたカバーでバッグの中で紙が傷まないことが嬉しい」(日野)。4種類の紙で5サイズ展開。A6 800円、A4 1,200円。
●伊藤バインダリー/https://www.ito-bindery.co.jp/

十時啓悦の挽き目椀

青梅の工房でわずかの改良を加えながら30年以上作り続けている漆椀。材質は栗で驚くほど軽い。「ろくろも自分で挽けるオールマイティな作家です。具だくさんの汁物を入れてもいいですが、漆はご飯が映える器なので、飯椀としてもぜひ試してほしい。筋の入った木地につや消しの漆仕上げなので傷が目立ちにくく、緊張せずに使えます」(日野)。各9,000円。
●青梅クラフト館&caffèトトの木/青梅市梅郷2−177☎0428・76・0609。13時〜17時。水曜のみ営業。

STYLE JAPANの香遣

蚊取り線香だけでなく、一年を通してお香やアロマを楽しめることから蚊遣りではなく、“香遣”に。小泉誠がデザイン。「アルミ部分は墨田区の〈昌栄工業〉が作り、籐巻きは同じく墨田区の〈おみねらたん〉が担当。籐細工は東京の伝統工芸でもあります。出しゃばりすぎず、いい仕事をしています」(日野)。6,000円。
●エコンフォートハウス 表参道店/渋谷区神宮前5−38−15☎03・6805・1282。https://www.ecomfort.jp/

須田二郎のウッドボウル

八王子に工房を構える木工家の器は、生木から削り出すグリーンウッドターニング技法によって作られる。雑木林などから自身で材を集め、木の塊を削りながら成形。「撮影で使い、手に取るたびにいいなあ、と思います。薄さが上品で、フルーツボウルとして使うことが多いです」(大谷)。左から/13,200円、7,700円。どちらも桜。
●アウトバウンド/武蔵野市吉祥寺本町2−7−4 101☎0422・27・7720。11時〜19時。金曜・土曜・日曜・展覧会時のみ営業。

曽田耕のラスカバンWA

ヌメ革を加工せずに使いたいと、厚み5〜9㎜の牛革をそのまま使用。それだけだと重たくなるのでスリットを入れて引き伸ばし網状に仕上げた。「革の入手がしやすいからと台東区に工房を構えています。カバン作りの法則にとらわれず、素材の特性を生かせる人だからできた形だと思います。こういった使い込むと達成感のあるものは大好きです」(日野)。25,000円(税込み)。
●ぎゃらりー無垢里/渋谷区猿楽町20−4☎03・5458・6991。11時〜19時。水曜・木曜休。

小石川染色工房のITAJIME|板締染BAN-SHIKI

文京区・小石川植物園の近くに工房を構える、100年以上の歴史を持つ染工場。布地を四角に畳んで端を板に挟み、染料を注ぐことでグラデーション柄が仕上がる。奈良時代から伝わる板締めと呼ばれる染色技法で製作。「手仕事ならではの味わいがあります。デザインも東京らしく粋ですよね。小さめの酒ボトルを手みやげとして持っていく時、これに包んでプレゼントしたくなります」(大谷)。3,000円。
●小石川染色工房/https://koishikawa-dyeing-atelier.com/

カキモリの透明軸の万年筆

書くことをたのしむためのブランド〈カキモリ〉のオリジナル万年筆はスケルトンボディが特徴。ベースは《セーラー プロフィットJr.透明感》を使用し、ペン先は金色のステンレスでアレンジした中細字。「オリジナルインクの色もたくさんあります。価格が手頃なので、インク違いで複数揃えても。透明軸で、インク色がきれいに見えるのも魅力的ですね」(大谷)。3,500円。
●カキモリ/台東区三筋1−6−2☎050・1744・8546。11時〜19時。月曜休(祝日は営業)。

SŌKの花器

岐阜県・多治見で陶芸を学んだ、鈴木絵里加の花器。東京都世田谷区で2014年から器とアクセサリーの制作を開始。「質感のある釉薬が魅力的です。彼女の作る食器も素敵なのですが、鉢ならば食事の時だけでなく、いつも一緒に暮らせるのが嬉しいです。陶芸のデザインセンスだけでなく、彼女自身の暮らしぶりも素敵です」(日野)。左から/24,000円、18,000円、20,000円。
●oku/世田谷区奥沢4−26−1☎050・3569・0099。12時〜19時。不定休。

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日野明子

●クラフトバイヤー
ひの・あきこ/1999年に独立。〈スタジオ木瓜〉を設立し一人で問屋業をスタートする。製造現場に足を運び、百貨店やショップと産地、職人、作家をつなげる。まだ知られていない素敵な品を見つけるため日々奔走。

大谷優依

●インテリアスタイリスト
おおたに・ゆい/多摩美術大学環境デザイン学科卒業。エディトリアルデザイナーを経て、現職に。シンプルで温もりのあるスタイリングに定評があり、雑誌やCMなど、様々な分野での空間演出を手がける。

photo/
Satoshi Yamaguchi
text/
Wakako Miyake

本記事は雑誌BRUTUS919号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は919号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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