マジェマジェしてねぇ〜♥

From Editors

No. 918(2020.06.15発行)
CURRY for Geeks 混ぜる、食べる、混ぜる
昔、ブルータスで〈ナイルレストラン〉の2代目G.M.ナイルさんが連載していた『ナイルさんのカレー天国!!』(絶版)。日本最古の印度料理店店主が、全国のカレー店を食べ歩いたり、カレー味のスナックやレトルトカレーを食べ、ふざけてるのか真面目なのかよく分からないコメントでルポしていくという内容。なんと挿絵はリリー・フランキーという贅沢な構成でした。

東銀座には日本最古の印度料理専門店〈ナイルレストラン〉があります。気分的には“カレー”を食べに行くというより、名物「ムルギーランチ」を食べたいがために足繁く通っている感じ。自分にとってはチキンカレーを超越した、特別な料理なのです。番頭のラジャンさんは「ジェンタイテキニマジェマジェシテネ(全体的に混ぜ混ぜしてね)」と、お客さんに促します。もちろん20年来の常連ともなれば、お作法について指導されることもないけれど、このマジェマジェして食べることの楽しさ、おいしさは、通い始めた頃から変わりません。関東圏で育った人は、カレーをグチャグチャに混ぜて食べて、親に叱られたことがあるのではないでしょうか? “お行儀が悪い食べ方”というイメージが付き纏いますが、少なくともインド料理は混ぜて食べるもの。そろそろ、要らぬ背徳感から解き放たれて、カレーを楽しんでもらいたいと思います。

ちなみに、今回の特集でマジェマジェしているのは、お皿の中だけではありません。例えば、国境を超えてローカルフードと混ざり合ったカレーを紹介しています。DRY&WETという形状が異なるカレーを同居させたひと皿にも可能性を感じました。長い歴史を見れば、料理や音楽、アートなども異文化が混ざり合うことで、新しいカルチャーが生まれてきたことは明らかです。もしかしたら、カレーはもっとも身近にダイバーシティを体感できるものの1つかもしれません。そして、日本全国津々浦々に個性的なカレー屋さんが存在し、中でも東京は世界でもっとも多くの種類のカレーを楽しめる街になりました。マジェマジェしながら、読者のみなさんがいろんな異次元を旅できますように。

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本誌担当編集/
鮎川隆史

本記事は雑誌BRUTUS918号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は918号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.918
CURRY for Geeks 混ぜる、食べる、混ぜる(2020.06.15発行)

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