霊峰・迦葉山 に棲まう 天狗にあやかる。
群馬県沼田市の北部にある迦葉山は、天狗が棲むといわれている霊峰です。弥勒寺はその迦葉山にあるお寺で、高さ6・5m、鼻の高さは2・8mもある日本一の大天狗面が奉納されていることで知られています。
この大天狗面は、昭和14(1939)年に、戦勝を祈願して作られたもの。昭和45(1970)年には交通安全を祈願した高さ5・5m、鼻の高さ2・7mの大天狗も奉納されました。共に境内の中峰堂に収められており、天井に届かんばかりの巨大さで、見る者を圧倒します。
そして、この弥勒寺には、この天狗面にまつわる独特の風習があります。中峰堂には、巨大な天狗面のほかに、祈願がされた小さな天狗面がズラリと並んでいます。この小さな天狗面は、「お借り面」と呼ばれ、参拝客が借りて家に持ち帰ることができるのです。願いが叶って再度お参りに訪れた際には、門前の茶店で新しい面を買って、借りた面と新しい面の2つを「お返し面」として返納し、さらにまた新たな面を借りて帰る、というもの。
そのため、中峰堂には天狗面が常にびっしりと並んでいます。
- edit/
- Shogo Kawabata
本記事は雑誌BRUTUS918号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は918号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。