【住宅街のエスニック】MAKIN THAI CUISINE/ベトナムフレンチ ネムクリュ

グルマン温故知新

No. 918(2020.06.15発行)
CURRY for Geeks 混ぜる、食べる、混ぜる

地域に根ざし町に人呼ぶ、小体なエスニック。

都心の繁華街からやや離れた2つの町に、個性的なエスニック料理店が誕生。一方はニュージーランドでも腕を振るったタイ人シェフによるタイ料理店、一方は各国料理を学んだ日本人シェフの創作ベトナミーズ。活気あふれる街の景色をアップデートする店。

【 MAKIN THAI CUISINE ●清澄白河 】東京イースト、インターナショナルタイ料理店。

 キャラの立った個人店の相次ぐ開業に沸く清澄白河に、またも魅力的な仲間が加わった。ニュージーランド南部のリゾート地・ワナカにあるタイ料理店で出会った木下歩美さん、タイ北東部出身のナムケット・モンチュリーさん夫妻のタイ料理店だ。

ナムケットさん。東京では〈クルンサイアム〉などで働いた。

 タイ国内では和食や欧州の料理も学び、ワナカでは地元の人に愛されるタイ料理店で腕を振るったナムケットさん。料理の引き出しは多く、タイ人は大好きなのに日本では知名度低めなソフトシェルクラブの卵とじカレーや、逆にタイではさほど見かけないのにニュージーランドでは大人気のビーフサラダなど、各国で愛されるタイの味をメニューに揃えた。フレッシュハーブやチリをバシッと効かせ、酸味や甘味でバランスを取った味は、爽快、スパイシーでキレがある。阿吽の呼吸でサーブする木下さんの客あしらいは、すでに下町の風景の一部に。ローカルかつインターナショナルな町のハブとなる店だ。

ヤム ヌア

赤身の味がしっかりとした牛のランプ肉を塊でグリルして薄切りに。タマネギやプチトマトなどの野菜と唐辛子、ニンニクが効いた甘辛酸っぱいドレッシングで和えたボリュームたっぷり、メインディッシュにもなる牛肉のサラダ。かなりホットでスパイシー。ビールや冷やしたワインがガンガン進む。1,250円。

プー ニム  パット ポン カリー

卵を加えたカニのカレー炒め。タイのレストランではない店はないほどの人気者。ソフトシェルクラブを使った豪華版で、プリプリのソフトシェルクラブとふわふわ卵の食感のコントラストも味。辛さは控えめ。1,550円。

パッ ガパオ

日本でもお馴染み、鶏挽き肉とホーリーバジル炒め。スイートバジルではなく、フレッシュのホーリーバジルを使うのがポイント。パプリカやタマネギなどの野菜とともに強火で炒めて香りを立たせる。950円。

ポップな空間は、2人が好きなチェンマイのレストランが手本。

【 ベトナムフレンチ ネムクリュ ●祖師ヶ谷大蔵 】「包む」料理とベトナムつまみをカウンターで。

 地上2階にもかかわらず、町と地続きのような雰囲気。大きな窓のおかげか、駅からのアクセスの良さゆえか。個人店が元気な商店街にお目見えした、創作ベトナム料理の新顔である。

仕込みから営業中の接客まで、一人でこなす柿本さん。

 店主の柿本将浩さんは、インテリアショップが手がけるエスニック料理店として人気を博した青山〈ロジャック〉(現在は閉店)で5年、ほかイタリアン、フレンチ、寿司店まであらゆる店の厨房を経験した。独立の際、ベトナム料理を選んだのは「自由度が高いから」。店名はベトナム語で「春巻き」を指す「Nem(ネム)」とフランス語で「生」の意味を持つ「cru(クリュ)」を合わせた造語。生春巻きよろしく、肉を詰めたヤリイカやもち米を詰めた手羽先など、「包む」がお題の創作料理あり、ブン(米粉の麺)などの現地の味に倣ったベトナム料理あり。地元の年配客からわざわざ足を運ぶエスニック好きまで幅広いゲストを“巻き込み”、小さな店から町を盛り上げる。

ヤリイカの肉詰め トマト煮込み

豚挽き肉と香味野菜で作るタネをヤリイカに詰め、トマトソースで煮込んだ“くるむ”シリーズの一皿。しっかりと煮込み、やや煮詰まって凝縮感が出たソースもワインのつまみになる仕上がり。ニンニク、レモングラス、ヌクマムを効かせて。付け合わせは、小松菜の油炒め(野菜は時季替わり)。1,100円。

定番 海老の生春巻き
定番 海老の生春巻き

ゆでたエビと豚肉、ニンジンとダイコンのなます、レタスにたっぷりのミント、パクチー、大葉と、王道の組み合わせ。砕いたナッツを入れて食感と香ばしさを加え、コクのあるピーナッツソースを添えて。2本700円。

ブン チャー

現地ではフォー以上にポピュラーだという米粉の細麺・ブンを、つけ麺で。鶏だしにヌクマム、砂糖、レモン汁を加えたつけ汁は、ガチッと焼いた豚バラ、肉団子入り。ゆでモヤシとパクチー、ミントと一緒に。1,050円。

コの字のハイカウンターのみ。昼間は一面の窓から光が差し込む。

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MAKIN THAI CUISINE/マーキン タイ キュイジーヌ

電話:03・5809・8465
営業時間:11時30分~14時LO、17時~21時30分LO。
酒:生ビール550円~、タイの瓶ビール650円~、ソフトドリンク400円~。
価格:アラカルトのみ約20種。前菜550円~、メイン950円~。
席数 :カウンター6席、テーブル6卓22席。

東京都江東区白河3−6−10。月曜休、不定休。東京メトロほか清澄白河駅B2出口から徒歩6分。2020年4月5日オープン。ランチはガパオライスなど定番6品と日替わり1品を用意。950円~。木下さんは帰国後、ニュージーランド発の〈Allpress Espresso TOKYO Roastery&Cafe〉で働き、清澄白河の町で店を開くことに決めた。同店のように地域の人々に愛され、日常に根ざす店を目指す。

ベトナムフレンチ ネムクリュ

電話:03・6874・4034
営業時間:12時~13時30分LO、18時~21時30分LO(日12時~16時30分LO)。
酒:ビール(小瓶)600円~、サワー550円~、グラスワイン650円~。
価格:アラカルトのみ約20種。小皿つまみ300円~、前菜630円~。
席数 :カウンター15席。

東京都世田谷区砧6−36−6 FLAPビル2F。月曜休。小田急線祖師ヶ谷大蔵駅南口から徒歩1分。2020年1月7日オープン。ランチは牛肉のフォーと生春巻きのセット980円ほか。ディナータイムはココナッツプリンなどのデザートもあり。550円。ワインは横浜横浜君嶋屋〉の監修で、アルザスのゲヴュルツトラミネールやカリフォルニアのピノ・ノワールなど店の料理に合うものを厳選。

*記載した価格はすべて税込みです。営業時間等は変更になることがあります。

photo/
Naoki Tani
文/
佐々木ケイ

本記事は雑誌BRUTUS918号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は918号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.918
CURRY for Geeks 混ぜる、食べる、混ぜる(2020.06.15発行)

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