- ホンマタカシ(以下H)
- ワン・ビン(*1)、またすごいのを作ったね。『鉄西区』『三姉妹』『収容病棟』と観てるけど、これはきてるね。8時間!
- BRUTUS(以下B)
- カンヌ公式作品史上、最長作品らしいです。
- H
- 反右派闘争はワン・ビンの重要なテーマで、これまでも唯一のフィクション『無言歌』や、おばあちゃんに約3時間ほぼワンカットでインタビューしてる間に日が暮れて画面が暗くなって、「やられた」と思った作品もある。その頃から当時の生き残りを取材していて、それが120の証言、約600時間のラッシュ映像としてある。それを8時間にまとめたのがこの作品。でも取材をするだけなら、普通のジャーナリストでもできる。それを垂れ流すだけなら映画にならない。「一つの証言をほかの証言よりも目立たせることはしない」「証言を織り上げたり、差し込んだりすることはしない」とワン・ビンは言うけど、それだけでもこの作品は成り立たないと思う。やっぱり、ワン・ビンならではの編集点やリズムがあるんだよね。じゃないと、映画として8時間もたせられないと思うよ。
- B
- 8時間⁉ と思いましたが、結果、最後まで観られてしまいました。
*1
数々の国際賞受賞。またドクメンタ14で回顧上映が行われるなど国際的に評価される。
本記事は雑誌BRUTUS918号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は918号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。