エンターテインメント

【 6月24日配信開始 】黒田卓也とYonYonが語る共演作と、新しいライブの在り方。

BRUTUSCOPE

No. 918(2020.06.15発行)
CURRY for Geeks 混ぜる、食べる、混ぜる
YonYon(左) 黒田卓也(右)

苦境でも止まらない、音楽家の創造と活動。

NYを拠点に活動するジャズトランペッターの黒田卓也が、新作『Fly Moon Die Soon』を発表する。これまでの作品では、セッションするミュージシャンへ作曲した譜面とデモを渡し、レコーディングの際には、アドリブも含め「ある程度任せた」セッションをしていたという。しかし、新作ではリズムトラックを自ら制作し、それを忠実に生演奏に差し替えた楽曲が中心。アフロビートからメロウなボーカルまで、多彩な曲が並ぶが、根底はファンク。統一感の高いアルバムになっている。作品を締めくくるのは、韓国やアジア各地でも活動するDJ、シンガーソングライターのYonYonを迎えた「Do No Why(YonYon & MELRAW Rework)」。日本語と韓国語の交差する新鮮すぎる楽曲制作、そして今後の音楽家の活動について聞いた。

『Fly Moon Die Soon』「ABC」などのアフロビート、自らのトラックしたチルアウト感のあるタイトル曲など、生演奏と打ち込みのバランスが絶妙な傑作。発売が延期されていたが、配信は6月24日から、CDの発売は8月5日に決定!

YonYon
実はお話をいただくまで、黒田さんのことを存じ上げなかったんですけど、ディグって(調べて)みたらめちゃめちゃすごい人だったという……。
黒田卓也
ディグってくれたのか(笑)。挨拶がてら話していたら、トラックメーカーのMELRAWが共通の友人だとわかり、参加してもらうことにしたんだよね。彼はジャズからエレクトロまで理解していて、僕らの音楽的な懸け橋になってくれた。3人でスタジオへ入り、音楽ソフト上で曲を分解し、歌とラップを乗せるパートを再編集して。原曲は複雑なコード進行で、ビートも入り組んでいるから、最初からセンシティブな作業だったな。
YonYon
歌詞とメロディをつける時も苦戦しました。ハマるメロディを見つけるまで聴き続け、何パターンか作って。
黒田
メロディは日本語、ラップのパートは韓国語という構成も新鮮だった。
YonYon
ミニマルなビートが、韓国の打楽器を用いた伝統音楽(「サムルノリ」や「プンムル」)に近いと感じ、ラップは韓国語にしようと思いました。
黒田
最初から決めていたワケじゃ?
YonYon
ないんです。ちょっと呪文のようにしたかったんですよ。私は日韓どちらの言葉も話せるので、かっこよくハマるものを使った感じです。
黒田
わかる! 新しくて、かっこいい音楽を作る方が重要なんだよね。ジャズマンは演奏に対して求道的で、ストイックなイメージがあって、僕自身も憧れていた。でも、NYの連中たちは、みんなポップスの仕事もするから、パソコンを使って作曲作業をしている。音楽家も環境に応じて変化していくと思うんだよね。
黒田
緊急事態宣言は解除されたけど、音楽家のライブの形態も変わると思う。DJ活動はどうなっているの?
YonYon
3月からクラブが営業を自粛していましたが、5月くらいから配信ライブのDJが増えています。当初は配信を観ていて、そのまま投げ銭ができるシステムがなかった。背景が合成できるアプリ「TWITCH」から配信するけど、投げ銭はPayPalでの別途送金や、アマゾンの商品券を贈ったりとか。
黒田
それは面倒だね。
YonYon
今はLIVEコインが使える「LINE LIVE」の配信イベントが増えています。アメリカでは、電子マネーが一般的に普及しているから便利そうですね。
黒田
「venmo」には、割り勘できるシステムがあるから友達同士でも使っているくらい。今後ジャズのライブ配信も始まるけど、僕はチケット制ではなく、投げ銭が一番正しいと思うんだよね。
YonYon
DJはスマホやパソコンからの配信が多いけど、バンドだと何台もカメラが必要になるんじゃないですか?
黒田
ライブ制作側は大変だと思う。ジャズは複雑な音楽で、現場で体験することに意味がある。ライブ配信でどこまで臨場感が伝わるか、まだ様子見かな。
YonYon
配信はどこでもできるので、一ヵ所の拠点にとどまる必要がなくなってくる。大型フェスの多くは中止になっているけど、例えば地方とかで感染と騒音の対策をすれば、小さな野外イベントができると思うんですよね。
黒田
場所は駐車場や校庭とか借りられたら、どこでもいい。やっぱり音楽は生で体験することが一番だから。要望があったら、僕が一人で出向き、ジャズの演奏を届けるような仕事もやってみたいな。
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YonYon

ヨンヨン/ソウル生まれ東京育ち。DJ、SSW。日韓を音楽で繋ぐ〈THE LINK〉プロジェクト、InterFM『TOKYO Scene』(毎週金曜20時~21時)ではパーソナリティも担当。

黒田卓也

くろだ・たくや/USブルーノートから日本人初のリーダー作『Rising Son』(2014年)を発表。『報道ステーション』のテーマを手がけた〈J−Squad〉の一員。

photo/
Naoto Date
text/
Katsumi Watanabe

本記事は雑誌BRUTUS918号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は918号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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