ライフスタイル

オリンピックもピンク映画も撮ったのは、俺ぐらいかな。|山本晋也(最終回/全四回)

TOKYO 80s

No. 917(2020.06.01発行)
マンガが好きで好きで好きでたまらない

 結局、ピンク映画は240本から250本ぐらい撮ったのかな。監督になって最初の3本までは面倒を見るって言われたんだよ、会社にね。3本の中から1本でもヒットが出たら監督として雇うからって(笑)。そしたら『未公開の情事』がヒットしたんだよ。いいタイトルだよね。『狂い咲き』『未公開の情事』とかさ。この前、俺の作品の一覧をリストにして持ってきてくれた人がいてね。俺の映画はあれですよ、ピンクのものがフィルムセンターに10本くらい寄贈されてますよ、日本映画としてね。「昔の作品を観に来ますか?」って言われたんだけど、いいよ、俺の映画がフィルムセンターにあるからって別に偉くも何ともないだろって言ってね。そんな人生ですよね。振り返ってみると、まあ、健康に80歳まで生きてきたけど、ただツイてただけじゃないかな。人間、「ツク」「ツカナイ」っていうのはあるんじゃないですかね? ものすごくツクってことはなかったけど、だらだらだらだらツイてたようなムードが俺の人生。それでこの年まできてるんじゃないかな。今でも無性に撮りたくなってさ。昭和大学の連中がマダガスカルで医療支援をやってるんですよね。その記録を俺が撮って、BSで放送されましたけどね。ナレーションもやって。アフリカまで行って撮影しました。これからも、そういうことをやっていきたいな。ドキュメンタリー。本当に貧しい国とかのね。だってペットボトルを山にしてそれを売って生計を立てていて、誰が買うんだって。中身を洗うんだろうな、きっと。だから水なんかまともに飲めない。アフリカに行くとね、大変なんだよ、体力的に。でも面白い。あとは星のことをやりたいね。あるアメリカのカメラマンが、実に星がきれいに動いてるのを撮っていてさ。独特の撮り方をしてるんだ。それが好きでね。僕は、中学3年の時にガリレオ衛星を4つ見てますからね。手作りの望遠鏡でも見えたんですよ。まだやりたいことはありますよ。これまで、ウッドストックを見にベトナム戦争の最中にアメリカに行ったり、ヤクザにブルーフィルムを撮れって言われたり、ほかにも色々あるんだけどさ。そもそも東京オリンピックを撮って、ピンク映画を撮ったやつはほかにいないでしょ(笑)。生でアベベも見たし、ヘイズも見た。まぁ本当に人がしない経験をしてこられたかな。そんな感じかな。俺の話はね。(了)

ライフスタイルカテゴリの記事をもっと読む

山本晋也

1939年生まれ。映画監督、リポーター。近著に『風俗という病い』がある。

PHOTO/
SHINGO WAKAGI
TEXT/
KUNICHI NOMURA
EDIT/
HITOSHI MATSUO

本記事は雑誌BRUTUS917号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は917号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.917
マンガが好きで好きで好きでたまらない(2020.06.01発行)

関連記事