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【6月17日発売】『WONK』アートブックにリンクする22曲のコンセプトアルバムを発表。

BRUTUSCOPE

No. 917(2020.06.01発行)
マンガが好きで好きで好きでたまらない
WONK/写真左から、江㟢文武(Piano/Key)、井上幹(B/Syn)、長塚健斗(Vo)、荒田洸(Dr)。

WONKが表現する「もう一つの世界」。

2016年にデビューアルバム『Sphere』を発表後、最近では香取慎吾やCharaへの楽曲提供、LAのジ・インターネットのオフィシャルカバーを手がけるほか、海外のアーティストともコラボレーションするなど、快進撃を続けるWONK。新作『EYES』は全22曲。壮大なテーマを伴うコンセプトアルバムになっている。

荒田洸
アルバムのコンセプト構造は、自分たちが見ているものが、メディアの恩恵によって皮肉にも制限され、自らの思考も無意識に操作されているのではないかと、疑問を持ったところから始まりました。現在目にする情報は、SNSなど、自分に近い環境の人や、都合のいい情報で固められていることが多いと思う。このことが原因で、意見や生活環境の違う他者を受け入れることがなくなってきていると思います。「現状は本当に正しいのか?」というメッセージをメンバー間で話し合い、そんな状況を作品として表現しようと考えていきました。そのうち「他者の意見も受け入れる」という考え方と同時に「もう一つの世界が同時に存在していたら」というイメージが出てきて。
江﨑文武
荒田の「頭上に異世界の象徴としてブルームーンが広がる」というSF的なコンセプトと、エコーチェンバー(閉鎖的なコミュニケーション)といった社会学的な現象を同期できないか、メンバー同士で意見を交換しながら広げていきました。出来上がったイメージを短編映画化し、その劇伴として曲を書こうという話が出ましたが、時間と費用の都合で断念(笑)。そこで「ビジュアル付きの脚本(アートブック)を作ってみよう」ということになったんです。
井上幹
僕が基となる脚本を書き、知り合いのシナリオライターさんに推敲してもらいました。映画『インセプション』や、ドラマ『ブラック・ミラー』に、いくつか似たような世界観のエピソードがあり、参考にしましたね。70年代にアレハンドロ・ホドロフスキー監督が小説『デューン 砂の惑星』を映画化しようとした時、予算の問題で頓挫したという話があって。今回のアルバム制作における話と似ているんですよね(笑)。

アートブックと完全にリンクした楽曲は、どのように制作されていったのか。

長塚健斗
メンバーと話し合いながら、歌詞を書きましたが、アートブックの制作が進行する過程で、楽曲の内容も変わっていきました。揃った曲を並べ替え、脚本と調整していくところなど、本当に映画の編集作業みたいでしたね。
江﨑
サウンド的なまとまりには時間を要しましたね。バンドの方向性も過渡期を迎えていて変化した部分も多かった。
荒田
冒頭のタイトル曲「EYES」は、神秘的で、別世界の雰囲気を出すために、ベースのリズムにアフリカンなポリリズムを導入し、その上にサイバー感のあるパーカッションを重ねていきました。ストーリーがあることで、音楽的な新しいアイデアが出てきたことも多かった。
江﨑
デジタル・プログラムの曲も多かったんですけど、ストーリー的に温かみがある最後の「In Your Own Way」など、生楽器に軸が置かれているというような作りにしました。ストーリーとサウンドのリンクにこだわるあまり、完成当初はCD一枚の収録時間数限界の74分を超えてしまうハプニングがあって(笑)。
荒田
CDなどのソフトが生活圏からなくなっていたことを、改めて実感した。
江﨑
初音ミクの収録時間数‌80分45秒が最長ということで、記録に挑戦しようと思いましたが、なんとかCD一枚分に収まって、ホッとしましたね。

メジャーも注目するWONKのプロダクション。

『20200101』香取慎吾/ご本人から「もっとWONKらしい楽曲を」という要望でR&Bテイスト「Metropolis(feat. WONK)」を提供。

「愛する時」Chara×荒田洸/『Baby Bump』夢見心地なフォーキーなコラボ。

「Fly with me」millennium parade×ghost in the shell/King Gnuの常田大希によるプロジェクト。江﨑と長塚が参加。

『Ovall Reworks』Ovall/インストの楽曲を、荒田がリミックス、長塚が歌詞を書き下ろし。

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WONK

ウォンク/江㟢文武(Piano/Key)、井上幹(B/Syn)、長塚健斗(Vo)、荒田洸(Dr)。2013年に結成後、16年に『Sphere』、17年に『Caster』と『Pollux』の2枚のアルバムを同時リリース。レーベル〈EPISTROPH〉を運営。

photo/
Naoto Date
text/
Katsumi Watanabe

本記事は雑誌BRUTUS917号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は917号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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