- ホンマタカシ(以下H)
- うーん、ダルデンヌ兄弟(*1)……。
- BRUTUS(以下B)
- どうしました?
- H
- うーん、素晴らしい! 非常事態宣言下の東京でうなるしかない!
- B
- もったいぶらないでください(笑)。
- H
- アメッド少年が、宗教にはまって、母親と揉めて、先生まで、刺そうとしちゃって、そのあと……って、超シンプルな物語なのに、何なの? このスリリングは? というか、充実感!
- B
- イスラム教徒が人口の多くを占める町に住む少年が主人公です。ある時、彼がイスラムの指導者に感化され、過激な行動を取るようになります。そんな彼の成長物語です。
- H
- 研ぎ澄まされているよね、演出も、構成も、うなっちゃうよ! しまいには、歯ブラシも尖っちゃうからね! あ、ネタバレだ……、危ない、危ない(笑)。あと、ほかのダル兄弟の映画も、そうなんだけど、カメラワーク。ドキュメンタリータッチという手垢がついてしまった言葉があるけど、今回も「なんでそんな近くで追えるの?」という距離感で、それがダル兄弟映画の、主人公の息遣いというか、切迫感が出ている。映画の内容と技術が必然性を持ってそこに存在してるんだよね。
- B
- あれ? 今回、真面目ですね(笑)。
- H
- 純潔に重きを置き、不純を憎む。アーメン。では、ガンジーはガンジス川に沐浴に行きます……。
- B
- それは前回のネタですし、宗教も間違えてるし、本当に怒られますよ!
本記事は雑誌BRUTUS916号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は916号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。