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【BRUTUS.jpだけの居住空間学】プロインタビュアー・吉田豪の360°タレント本に囲まれる部屋

BRUTUS.jp オリジナル記事

No. 915(2020.05.01発行)
HOME SWEET HOME 居住空間学2020
2012年12月30日に放送された『情熱大陸』で吉田豪が特集された際、原稿を書く場所として使っていたPC机(写真右)は、洋服で埋もれてしまった……。

今回の『BRUTUS.jp』オリジナル記事は、本誌とは少しだけ目線を変えて、“特異”な「居住空間学」を持つ、住まい手に話を聞いてきました。
整えない、整わない(?)。集めに集め、集まってしまった、本、本、本……。足の踏み場がどんどん駆逐されていく。
訪れたのは、アイドル、俳優、プロレスラーから政治家まで、数々の著名人を取材、徹底的な下調べから「本人よりもその人に詳しい」と称される、プロインタビュアー・吉田豪の自宅。ライフワークであるタレント本、グッズの収集を続けた結果、物で埋め尽くされてしまった部屋を公開します。

増え続ける本、C D、グッズ

おびただしい数のタレント本を収納した本棚、いたるところに昭和のテレビ番組やテレビスターの激レアグッズが転がっている……。
ここは吉田豪が、約20年前から生活している、新宿2丁目のマンション、6階。キッチンや風呂場、トイレを除いたすべてのスペースが、長年集めてきたコレクションで溢れかえっている。
「そもそも30歳くらいまで練馬区の実家に住んでいました。90年代当時、一緒に古本とか中古CDを集めていた、同業者の植地(毅)さんとか、大西(祥平)さんも実家暮らし。家賃を気にしないで、住む場所がある人たちが、稼いだ金を趣味に見境なく注ぎ込み、蓄えた知識を雑誌の仕事につなげることができていたんですよ」
しかし、実家暮らしも終わりが来る。
「当時、『紙のプロレス』編集部を事務所代わりに使ってたんですけど、仕事が忙しくなって2日に1回くらいしか帰れない状態が続き、一人暮らしを決意しました。初めは会社から近い南新宿に住んでいたけど、住宅街でコンビニもスーパーも遠くにあって、不便だったから、また引っ越すことに。それで見つけたのが、いま住んでいる新宿二丁目の物件。安くて、広くて、駅から近くて、それでいて土地柄かプライバシーへの配慮もちゃんとしていて、僕自身はノンケなんですけど住んでみたらすごくしっくりきたんですよ。
そして、CDとか本とか大量のグッズは実家に置いていたけれど、姉夫婦が実家に住むことになって、僕が置いていた物を全部引き上げることに。当時、実家の4部屋分くらいを、僕の物で占領していたんですよ。急遽、新しくマンションをもう一部屋借りなきゃいけなくなって、でも社会的な信用がないから審査が全然通らなくて。しょうがないから買うことにして、電柱に貼ってあったビラを見て即決。その荷物を入れてみたけど、一瞬で部屋が埋め尽くされて、ダンボール以外にはベッドぐらいしか入らない状態に。徐々にダンボールを開けて生活スペースを作ってきたんですけど、今度は新しく収集した物に占領されて自分の居場所がベッドの上の1/4ぐらいしかなくなって、しんどくなってきたから事務所代わりにしていた前の部屋に今は住んでます」

生活用品はタレントグッズを使うのが吉田豪の美学。ゴミ箱は「たのきんトリオ」のオフィシャルグッズ。市場をいくら探しても、野村義男だけ見つからない。後ろのマネキンが着ているのは横山やすしのスーツ(本物)。

本音を引き出す部屋

吉田豪は、取材相手が出版した本があれば、たとえ絶版していても入手し、徹底的に読み込む。持っている「タレント本」は重要な仕事道具だ。ところで、今の環境下でお目当ての本を本棚から探すことはできるんですか? 
「もう限界がきてますね(笑)。最初はタレント本を50音順ルールで並べていたけど、最後に整理整頓したのは、もう10年くらい前かな。当時はmixiで人を集めて本棚整理をしてもらっていたけど、やる機会を失ったままこの状態になってます。今は、新しい本を買っても本棚の手前に横に積むしかない状態だし、生活スペースを確保するために向かい合う本棚と本棚の間をゼロにしたり、本棚の隙間に大量の服を詰め込んだりで、棚としての機能は完全に死んでます」
毎週火曜日になると吉田豪のトーク番組『豪の部屋』(SHOWROOM)の配信で、アイドル、女優、声優、ミュージシャン、様々なゲストがこの部屋を訪れる(自粛期間は、リモートでゲストが出演)。だから、掃除はしっかりと行う。
「ひどい状態だってよく言われるんですけど、これでも毎週配信の仕事で人が家に来るから、自分ではかなり片付いてるつもりなんですよ。どんなに物で溢れていても、最低限のことはやってます。でも、子供の頃から片付けの能力は皆無で、発達障害を公言している竹熊健太郎さんに『吉田さんも発達障害だと思う』って言われてますけどね(笑)」
この部屋に訪れると、本棚の背表紙の文字や、そこら中に転がった芸能人のグッズ、パンクバンドやアイドルのTシャツから、吉田豪のあたまの中身を垣間見る事ができる。『豪の部屋』に訪れるトークゲストたちが、他ではあまり聞けない本音をさらけ出してしまうのは、この部屋がそうさせているのかもしれない。

吉田豪の生活を玄関で見届けてきた梅宮辰夫の等身大人形は、お弁当屋〈梅辰亭〉のもの。十数年前にネットオークションで購入。

『BRUTUS』特集「居住空間学2020」(915号)が現在発売中。

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よしだ・ごう/1970年生まれ、東京都練馬区出身。編集プロダクションを経て、『紙のプロレス』編集部に参加。その後、フリーに。家の中で一番落ち着ける場所はお風呂場。最新刊『吉田豪の巨匠ハンター』(毎日新聞出版)、『書評の星座 吉田豪の格闘技本メッタ斬り 2005-2019』(ホーム社)が現在発売中。

PHOTO/
OOUCHI KAORI
TEXT/
Eisuke Onda(BRUTUS)

本記事は雑誌BRUTUS915号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は915号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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