アート

Ghost in Labor (2020)|ロビン・フランチェスカ・ウィリアムズ

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 915(2020.05.01発行)
HOME SWEET HOME 居住空間学2020
©Robin F. Williams

 幽霊を見たこともなけりゃ、分娩中のゴーストなんてとんでもない! ……のですが、はて、この絵の中の幽霊、何を産み落とさんとしているのでしょう。余裕の笑みとともに体をふわりと宙に浮かせてお産に挑んでいるのが、奇妙ながらも羨ましいところではありますが。さて、ロビン・フランチェスカ・ウィリアムズは1984年生まれ、ニューヨークを拠点に活動する画家です。彼女が描く人物は、どれもひと並びに同じ笑顔を浮かべています。が、その笑顔はまるで洞穴のようで空虚。どんな人をも“ゴースト化”してしまうというわけです。上の絵では、完全なるゴーストが、さらに新たなゴーストを生み出そうという魂胆ですね。大きく膨らんだ腹の中にいるのは、まさに、新型コロナウイルスのパンデミックが終息を見せないこの状況にほのめかされた、得体の知れない何か(作家はそれを意図したわけではないと話していますが)。もしくは、“不確かさ”を確かめようと、外に這い出そうとする私たち自身なのかもしれませんね。

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文/
中村志保

本記事は雑誌BRUTUS915号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は915号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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