旅と地域

旅に出ることだけが旅じゃない。

From Editors

No. 914(2020.04.15発行)
いつか旅に出る日。
今回の取材で個人的に最も驚いた風景は、西オーストラリアに点在するピンクレイクのひとつ「Hutt Lagoon」。季節や天気によって、色の見え方が変わるそうで、この日は快晴のため、ひときわビビッドな色で感動! (撮影/平野太)呂

アラスカの氷河、アフリカの大自然の写真。もしかしたら一生行くことがないかもしれない、と思う場所の写真に出会うとワクワクする。「旅フォトグラファーの次なる目的地」で石塚元太良さんを取材させていただいたときのこと。アトリエには、旅の写真が入った箱と6冊の本。ライフワーク的にアラスカの撮影をしているとのことで、見せていただいたのは、アラスカのゴールドラッシュ時代の家族の手記や写真が収められた『ALASKA GOLD』や、カヤックやキャンプの手引書『kayaking & camping in Prince William Sound』。後者の手引書を頼りに、カヤックに乗って、撮影スポットを探す旅へと繰り出しているとのこと。ときには熊に襲われる危険もあるそうで、熊よけの方法とかまで細かく書いてあり、アラスカの撮影旅行時には必携の一冊だそう。

誌面では、次に行きたい目的地として、ナミビアを紹介していただいたのですが、それに関連したアフリカ本として教えてくれたのが、ポーランド人のジャーナリスト・リシャルト・カプシチンスキが40年かけてアフリカ諸国を取材してまとめた『黒檀』。「アフリカを知る本として秀逸です。僕は、旅をする前に興味がある旅先の本を読むんです。そこを血肉化していく作業が旅なのかもしれない」と石塚さん。世界情勢的に旅に出られない日々が続くものの、これまで旅してきた人たちの写真や紀行文、さらにその土地の文化を描いた本を読むだけでも、脳内でも旅はできる。いつか旅に出る日のために、この一冊を通して、ぜひ好きな風景に出会ってみてください。

『kayaking & camping in Prince William Sound』を見ながら語ってくれた石塚さん。手前の写真はアラスカの氷河。まるでオブジェのようだけど、あまりにも美しすぎる自然が為せる造形美。夜にライティングをして、氷河を撮影することにもトライしているそうです。

旅と地域カテゴリの記事をもっと読む
本誌担当編集/
川端寿子

本記事は雑誌BRUTUS914号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は914号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.914
いつか旅に出る日。(2020.04.15発行)

関連記事