アート

Family (2019)|ポリーナ・バースカヤ

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 914(2020.04.15発行)
いつか旅に出る日。

 ポリーナ・バースカヤは、1984年ウクライナに生まれ、幼少期にニューヨークへ移り住んだ画家です。彼女が描くほとんどの作品は、実物そっくりの本人が登場する自画像です。上の絵で描かれているのは、家族団欒の一場面。皆が母親の話に耳を傾けるなか、ポリーナはマグカップを片手にこちらを見つめています。どこを、何を、見ているのでしょう? ありますよね、こういうこと。その場がとりわけ楽しいわけでなくとも、決して退屈でも憂鬱なわけでもなく、それなのに心ここにあらず。自分が自分の体から抜け出て、自分を眺めている感じでしょうか。それとも、誰でもない誰かを見つめているのかもしれません。きっと、本当にふとした瞬間で、誰かと一緒に過ごしてちょっと会話でもすれば、自分がここに存在していることを実感することはできるはず。でも、一瞬の間、その存在がなんだか疑わしくなって、“自分”という鏡を覗き込んで確かめたくなることがあるような気がします。映っているのか、映っていないのか、と。

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文/
中村志保
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©Polina Barskaya, Courtesy of Monya Rowe Gallery, NY

本記事は雑誌BRUTUS914号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は914号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.914
いつか旅に出る日。(2020.04.15発行)

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