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真造圭伍と谷口菜津子の生活と猫。

BRUTUSCOPE

No. 913(2020.04.01発行)
犬がいてよかった。
谷口菜津子・うに(左) 真造圭伍・ふみ(右)

犬特集だけど、猫と暮らし猫を描く漫画家夫婦の話。

『モーニング・ツー』『ビッグコミックスピリッツ』『コミックビーム』などで作品を発表する人気漫画家同士の結婚から1年4ヵ月。新生活、どうですか?

谷口菜津子
結婚した後もそれぞれ一人暮らしをしているので、実は前とあんまり変わっていないです。
真造圭伍
週に数回家を行き来して、ご飯を食べたり猫と遊んだりしています。
谷口
お互いにずっと漫画を描いていて不健康な生活になりがちなので、野菜を多めにしようと心がけながらね。逆に一人のときは『レトルト以上・ごちそう未満 スキマ飯』のようなご飯が多いです。この漫画は、一人ご飯は寂しそうだと思われたりするけど楽しいよ! という、自虐をやめようプロジェクトです。
真造
お互いの漫画についてはあんまり話さないね。俺は感想を言ってもらうけど、なっちゃんは「何も言うな」と言うから、『彼女と彼氏の明るい未来』や『彼女は宇宙一』は隠れて読んでました。
谷口
尊敬する漫画家である真造さんにストーリー漫画という同じ土俵で作品を読まれるのが嫌なんです、エッセイ漫画なら気にならないんですけど。でも最近、少しずつだけど、真造さんに尊敬されたいという気持ちが芽生えてきています。
真造
なっちゃんはすごい褒めてくれる。
谷口
悪いところはそんなに思いつかないし、良いところを言った方がお互いの関係は良好に進むかな〜と思ってる。あんまりアドバイスばっかりされたら、私は腹を立てちゃうかもしれないな。
真造
俺も言わないようにしています。
谷口
真造さんの『ノラと雑草』は単行本で読んでいるので、部屋に原稿がバーンと置いてあるとすごくイヤです。
真造
作画中だから仕方ないよ(笑)。
谷口
オチを先に知りたくない! もっと読者に気を使ってくれ!

男の子と女の子を描いた 2人の最新作、ついに完結!

谷口
『彼女と彼氏の明るい未来』は、男子を主人公にしたら新しい発見があるかな? と描き始めたけど、結局女子の方が描きやすいというか、男子の心を解き明かしたいという気持ちが自分にあまりないということに気づきました。
真造
これまでのストーリー漫画に比べると、幸せな描写は増えたと思うんだけど、それって結婚したからじゃないの?
谷口
そうなのかな? それについてはちょっとあとで考えてみます。
真造
逆に『ノラと雑草』は暗い描写も少なくない。鈴木大介さんのルポルタージュを読んだことをきっかけに生まれた作品なんですが、この作品ではいずれ終わってしまう関係というか、終わっても残るものを描きたくて。あと3話で完結して夏に4巻が出ます。
谷口
あと3話か〜、はやく読みたい!
真造
最初は描いている自分も辛いくらいだったけど、最後まで読めば、読んでよかった〜! と感じてもらえるはず。そもそも最後を描きたくて始めて。俺にしては珍しいくらいに緻密な設定を作って描いた作品です。『彼女と彼氏の明るい未来』も最終巻が出たね。
谷口
本当に終わらせられるのかと心配したけど、無事完結してよかったです。1巻では女の子の気持ちがわからなくて主人公の男子がオタオタしているんですが、2巻では女の子の気持ちや、主人公が恐れている「ヤリマン」とは何かを考えていく。自分にもある差別意識について考えさせられもしたし、いろいろ学びながら描きました。あとは、これまでは漫画の絵ってどうやってできてるんだろう? こういう感じかな? と描いていたのが、連載を続けるうちに、自分の描き方や話の作り方がわかってきた。だから次はもっといいのが描けるはずです!
真造
猫も登場したよね、ついに。
谷口
猫って形が面白くてつい描きたくなっちゃう。真造さんは『ノラと雑草』でも、「家猫ぶんちゃんの一年」(『休日ジャンクション』所収)でも猫を描いてて、いいな。
真造
ぶんちゃんはふみちゃん、『ノラと雑草』のガラはうにちゃんをモデルにしています。2匹とも保護猫です。
谷口
漫画の邪魔はされないの?
真造
原稿はときどき踏まれるしものを落としたりもするけど、描いているときはデスクの引き出しとライトの前で寝ていることが多くて、本ッ当にかわいい。仲が悪いっていうのだけが悲しいけどね……最初よりはマシだけど、じゃれ合ったりくっついて寝たりはしてくれない。
谷口
でもそれが2匹の関係なんだよね。私は猫と離れるのが辛いから、いずれは近くに暮らせたらいいなと思っています。

左から/『TokyoWalker』で連載中の食エッセイ漫画『レトルト以上・ごちそう未満 スキマ飯』(KADOKAWA/既刊1巻1,100円)。谷口菜津子が初の長編ストーリー漫画で、男らしさ、女らしさという呪縛の解体に挑む『彼女と彼氏の明るい未来』(KADOKAWA/全2巻720円〜)。貧困や虐待などの現代日本のリアルを、真造圭伍が見据えて描く『ノラと雑草』は『モーニング・ツー』で連載中。夏に最終4巻が発売予定(講談社/既刊3巻610円〜)。

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谷口菜津子

たにぐち・なつこ/1988年神奈川県生まれ。『わたしは全然不幸じゃありませんからね』で単行本デビュー。著書に『人生山あり谷口』『放っておくだけで、泣くほどおいしい料理ができる』など。

真造圭伍

しんぞう・けいご/1987年石川県生まれ。小学館・スピリッツ賞への投稿を経てデビュー。初の連載『森山中教習所』は映画化、『トーキョーエイリアンブラザーズ』はドラマ化され話題に。

photo/
Tomo Ishiwatari
text/
Hikari Torisawa

本記事は雑誌BRUTUS913号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は913号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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