【東京・次世代スパイス】SriMangalam/indo&more MAROLOGA Bhavan

グルマン温故知新

No. 912(2020.03.16発行)
WORK WEAR 働く服は美しい

カジュアルに、マニアックに。次世代のスパイス料理店。

インド料理をベースに創作スパイス料理を織り交ぜたつまみで飲ませる酒場と、南インド料理の中でも珍しい地方料理を打ち出す店。インド料理の楽しみは、より深く、より気軽に。勢いある次世代店の相次ぐオープンが、2020年の東京スパイスシーンを刺激する。

『SriMangalam ●経堂』インド随一の食文化を誇る南部の地方料理を。

 インド料理好きが、夏を待たずに沸いている。清澄白河〈ナンディニ〉、大山〈ヤジニ〉などで腕を振るったテーヴァン・マハリンガムさんが、故郷である南インド・チェティナード地方の料理に特化した店をオープンしたからだ。チェティナード地域は、世界を舞台にした商いで財を成した豪商が活躍した土地。スパイスや食材が世界中から集まり、食文化の豊かさはインド随一といわれている。

「マハさん」の愛称で親しまれるマハリンガムシェフ。料理歴30年のベテラン。

 前菜からドーサなどの軽食、カレーまで羊肉料理が豊富で、ホール中心のスパイス使いが贅沢。フェンネルやカルパシを多用する点もユニークで、辛さに爽快感と深みのあるコクが加わり、食欲の無限ループを刺激する。ライスは南インドの米・ポンニライスで、ポロタ(ナン生地のデニッシュ)などのパンも豊富と、脇役もぬかりがない。料理はマニアックだが、飲んでつまんでの酒場使いもオッケーというフランクさで、インド食体験の新しい扉を開いてくれる。

【マトン カリドーサ】マトンキーマカレーをのせた厚めのドーサ。ブラックペッパー、コリアンダー、ミント、フレッシュカレーリーフが混然一体となった複雑な香りがマトンの強い旨味と相乗し、やや酸味のある生地とよく合う。クリーミーなココナッツチャトニと野菜の旨味たっぷりのサンバルをかけて。酒が進む味。1,450円。

【マトン チェティナードカレー】辛味に加えてだしのような旨味もある唐辛子を使ったトマト風味のマトンカレー。鮮烈な辛さの奥にフェンネルの清涼感やカルパシ(苔を乾燥させたスパイス)のコクが感じられる。ライスかポロタとともに。1,400円。

【ノンベジ・ミールス】南インド料理の定番、ミールスの肉ありバージョン。ラッサムやサーンバルに加え、チキンまたはマトンカレー、チキンドライの4種が付く。豆の煎餅・アッパラムとスパイシーな漬物・ピックルを薬味に。ランチ1,500円〜。

テーブル席の奥にカウンター席もあり。

『indo&more MAROLOGA Bhavan ●新井薬師前』町のコミュニティ空間を目指すインド料理酒場。

 店構えにインド色はゼロ。店名の真っ赤なネオンサインが入口を飾り、厨房はブルーグリーンのタイルが色鮮やか。でもメニューを見れば、ドーサやコットロティ(スリランカ風パン炒め)などの鉄板料理あり、注文後に焼き始めるタンドリーチキンやタンドール釜で炊くビリヤニありと、ただならぬ料理が。

和敬さん、麻由さん夫妻。メニュー作りも試作も2人で。

 モダンインド料理店〈エリックサウス マサラダイナー〉などで経験を積んだ礒邊和敬さんと妻でソムリエの麻由さんが開いたスパイス酒場。「作りたいのは町の人が集える場」と、ワンコイン前後の小皿つまみが中心で、中にはワインバーに勤めた経験のある麻由さん考案の一品も。魚のバナナリーフ包みのような南インドの味から、20種ものスパイスを使った鶏の唐揚げまでを「スパイスの料理」と並べるフラットさがいい。夜はちょいっと立ち飲みもオッケー。新井薬師前交差点の目の前に立つ店から、古き良き商店街に新しい風を吹かせている。

【タンドリーチキン】7~8種のスパイスを使ったヨーグルトマサラに2日間漬け込み、オーダーを受けてから30分かけて休ませながら火を入れる。カリッと焼けた皮目はスパイスの香りが弾け、中は骨の周りまでしっとり。フレッシュ感際立つレモンのアチャールも、酒のいいつまみに。写真は1/4羽880円(1羽は3,300円)。

【おつまみ4種盛り合わせ】上から時計回りに、2種の豆を使ったスンダル(ヒヨコ豆のサラダ)、クローブやコリアンダーが香るしっとりとした自家製ハム、素揚げした後にマサラでマリネした さっぱり味のチキンピクルス、オリーブマリネ。990円。

【カレー2種類&ライス】昼のセットメニュー。カレーは時期替わりの5~6種から好きなものを選べ、サラダとインドの水出し紅茶が付いて900円。写真はバターチキンカレーとキーマカレー。夜はカレー単品でオーダー可(1品660円)。

30年続いた洋食店だった場所。古い照明などをそのまま使用。

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SriMangalam/スリ マンガラム

電話:03・6413・9986
営業時間:11時~14時30分LO、17時30分~21時30分LO。
酒:生ビール500円~、ウイスキー500円~、グラスワイン550円~。
価格:アラカルトのみ。前菜500円~、ミールス(夜)2,100円~。
席数 :カウンター14席、テーブル2卓8席。

東京都世田谷区経堂2−3−9。不定休。小田急線経堂駅から徒歩2分。2020年1月3日オープン。ミールスは野菜のみのベジ・ミールス2,100円もあり(ランチは1,500円)。パコラなどの野菜の前菜800円~、カレーは魚介、野菜、チキン、マトン各種。週末は不定期でバナナリーフを器にしたスペシャルな「チェティナード・ミールス」1,800円も提供し、手で食べる作法もレクチャーしてくれる。

indo&more MAROLOGA Bhavan/インドアンドモア マロロガ バワン

電話:080・8150・3523
営業時間:11時~15時LO、17時~22時30分LO。
酒:生ビール(小)495円~、ウイスキー、グラスワイン各550円~。
価格:アラカルトのみ。おつまみ330円~、スパイス料理550円~。
席数 :カウンター5席、テーブル1卓5~10席。立ち飲みあり。

東京都中野区新井1−35−12。月曜休。西武新宿新井薬師前駅から徒歩6分。2020年1月10日オープン。ドーサ(ミニサイズ)770円〜、タンドール料理440円〜、カレー単品660円。リーズナブルでスパイス料理と合うナチュラルワインをはじめ、クラフトビールやウイスキー、ラム。カクテルもありとドリンクも大充実。ランチ限定のテイクアウトは、選べるカレーとライスのセット600円。

photo/
Naoki Tani
文/
佐々木ケイ

本記事は雑誌BRUTUS912号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は912号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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