夜遊び不毛だった街に、いきなり良質な音響を備えた、クラブとミュージックバーがオープン。
イギリスのタイムアウト誌が毎年発表する「Time Out Index 2019」で、「世界で最もクールな街」の第2位に選出された下北沢。劇場やライブハウス、古着店の街として、若いカルチャーを育んできた場所だ。駅前の再開発に続き、今年中には路線跡地に商業施設がオープンするなど、街並みが一変。環境の変化やタイムアウト誌での選出に一番驚かされているのは、当の下北のバンドマンや役者たちかも。時代は変わるものです。
演劇やライブ、買い物など、比較的早い時間に賑わう下北沢だが、ここにきていきなり夜に遊べる場所が増えた。まず、昨年11月にオープンしたミュージックバー〈Counter Club〉。1年間かけて内装、機材選定やサウンドチェックを重ね、音楽がより心地よく響く空間を完成させた。「フロアにいても、人と人が話せる音響空間を志しました」と、スタッフの竹内佑太さん。平日から国内を代表するDJ陣が、ヒップホップやアンビエントまで、さまざまなジャンルの楽曲をプレー。バーカウンターを内包したワンフロアの店内だが、長時間いても心地よく音楽を楽しむことができる。
2月末にはクラブ〈SPREAD〉がオープン。ハウスやテクノのDJをラインナップ。高い天井とミラーボール、ダンスミュージックに特化した音響と空間設計で、全身で音楽を浴びることができるのは、下北ではこの店だけだ。
さらに、とにかく良質な音響とナチュラルワインが楽しめる〈drink & mood mou〉も人気。DJブースからは、空間に合った快楽的な楽曲がセレクトされ、心地がよすぎて思わず長居してしまう。
現在は三軒茶屋や渋谷のミュージックバーが盛り上がり、新宿にもクラブができている。そんな街でハジけるのもいいけど、下北沢にできたお店は、音響や選曲、そしてなにより居心地にこだわっている。じっくり音楽を聴きたい時には、下北で夜遊びすることをおすすめしたい。
- text/
- Mami Hidaka
本記事は雑誌BRUTUS911号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は911号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。