ライフスタイル

アリゾナキャンプ中の、キッチン事情。

生島淳の僕しか知らないアスリートの秘密

No. 910(2020.02.15発行)
キッチン

 2月というと、メジャーリーグのキャンプ取材を思い出す。一年の仕事を通して、いちばん幸せな時期かもしれない。特にアリゾナ。2月だというのに燦々と日差しが降り注ぎ、空気はカラッと乾燥している。朝から野球の練習を見ているだけで幸せな気分になる。
 キャンプ中、日本人メジャーリーガーはホテルに泊まるのではなく、一軒家やコンドミニアムの一室を借りて生活する。
 石井一久、斎藤隆、黒田博樹といった選手たちの部屋に取材で訪れることが度々あり、キッチンを覗かせてもらったが、選手たちは朝食を自分たちで作ることが多かった。選手が黙々と目玉焼きを作っている傍らで、私はコーヒーを淹れたりした。目玉焼きも毎日同じでは芸がないらしく、通常の片面焼き(サニーサイドアップ)だけではなく、両面焼き(ターンオーバー)に挑戦しているのを目撃したこともある。また、アメリカはコーンフレークの種類が多く、朝から空腹をお手軽に解消するという煩悩を満たすには役立ったが、「甘いの、飽きてくるね」と話したのも懐かしい。
 報道陣は夜になると、誰かの部屋で持ち寄りパーティをしたりするが、こと料理となると、ライターよりもカメラマンの方が料理の腕が良い。10人の対抗戦でキッチンバトルをしたら、おそらくカメラマン側が8対2くらいで勝つ。写真、料理ともに職人芸だからーーと私は一人で納得している。

ライフスタイルカテゴリの記事をもっと読む

いくしま・じゅん

スポーツジャーナリスト。近著に『どんな男になんねん』などがある。

イラスト/
土車大八

本記事は雑誌BRUTUS910号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は910号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.910
キッチン(2020.02.15発行)

関連記事