- ホンマタカシ(以下H)
- いやあ、谷崎きてるね 刺青
- BRUTUS(以下B)
- 文豪・谷崎潤一郎(*1)原作の映画『刺青』が、今回、4K修復版で公開されます。
- H
- 「すべて美しいものは強者であり、醜いものは弱者であった」って、ものすごい価値観だよね。今のこの多様性を認めようって時代にはほぼありえないよね。ぺこぱなら、「醜くてもいい」って、ツッコむところだね。
- B
- M−1グランプリで脚光を浴びたツッコまない漫才のぺこぱ(*2)をなぜ知っているのか、謎です……。
- H
- ところで、原作には駆け落ちも殺人もないんだよね。それを映画で表現する脚本がすごいよ。
- B
- 原作が谷崎潤一郎で、監督が増村保造で、脚色が新藤兼人です。並びがすでにすごいですよね。
- H
- 谷崎、どう思ったんだろね?(笑) あ! 若尾文子さんの話をしなきゃ!
- B
- その話をしたいんですよね?
- H
- まあ、原作にある彫り師の宿願、光輝ある美女の肌を得て、それへ己の魂を刺し込むことであった……、だからね、谷崎、変態さがね。
- B
- そして、背中一面に女郎蜘蛛の刺青を施されたことをきっかけに……。
- H
- ちなみに『鍵』って作品もものすごい変態性が発揮されてるんだよね。
- B
- 若尾さんは妖艶ですよね。
- H
- 若尾文子さ〜ん!
- B
- なんですか? 急に。
- H
- なんとなく叫んでみたよ(笑)。
*2
2008年結成のお笑いコンビ。2019年のM−1グランプリでは、ファイナルラウンドに進出した。
本記事は雑誌BRUTUS910号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は910号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。