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【話題の音楽】マニアック志向のまま、ポップにハジけた雨のパレード。

BRUTUSCOPE

No. 910(2020.02.15発行)
キッチン

日本国内の音楽シーンで生まれたサウンドは、アジアとの懸け橋になるか⁉

 1月にリリースされた、雨のパレードの4枚目のフルアルバム『BORDERLESS』が、好調なチャートアクションを見せている。メンバーチェンジを経て、3人組となってから初めてとなるアルバムには、タイトル曲をはじめ5曲に共同プロデューサーとして蔦谷好位置が招かれている。
 昨年末に先行して発表された「惑星 STRaNdING」は、ヒップホップグループのDos Monosを招き、アンビエントと静寂をたっぷり含んだトラックの上で、甘美なメロディと熱めのラップが踊る。この曲を聴いた時点で、ニューアルバムはアンダーグラウンドで、海外と同時進行だった音楽性により拍車がかかると思われた。だからこそ、ヒットメーカーである蔦谷との共作は意外なものに思えた。しかし、キャッチーなメロディを仕立ててきたプロデューサーであるとともに、蔦谷自身も超のつく音楽マニア。雨のパレードの特性と、足りなかった箇所を補いながら、マニア同士打ち解けていったのではないだろうか。「Summer Time Magic」は、コールドプレイ「Viva la Vi
da」のようなコーラスの楽曲で、フェスのアンセムになりそうな爽快な作品に仕上がっている。
 また、中国や台湾など、アジア各国での人気が急上昇中。昨年は、台湾で開催される「ゴールデン・メロディ・アワード」に招聘された。アジアで開催される大型フェスは、海外のアーティストが招かれることは少なく、ヘッドライナーさえも国内のアーティストが飾ることが多い。そんな中、雨のパレードが招かれていることからは、その人気と注目度が高いことがよくわかる。
 現在、オンラインの発達から、いきなり海外デビューを果たすというミュージシャンも少なくない。しかし、日本国内の音楽ビジネスの中で奮闘してきた結果、世界的に高い評価を受けるケースも増えてきた。そういう意味も踏まえ、今年はさらに雨のパレードの活動が注目されそうだ。

『BORDERLESS』

2013年結成。昨年のメンバーチェンジを経て、初となる4枚目のアルバム。CDは通常盤(3,000円)のほか、メンバーのインタビューとライブ音源を含むデザインブック仕様の完全生産限定盤(4,800円)も発売中。

2019年に台北で開催された「ゴールデン・メロディ・アワード」でのステージ。アジアの大型フェスやイベントへ出演予定。現在開催中のツアーも、日本国内に加え、中国と台湾での公演も実施。

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Katsumi Watanabe

本記事は雑誌BRUTUS910号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は910号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.910
キッチン(2020.02.15発行)

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