ライフスタイル

食を通して土地を知る、 宿に備えた本格派キッチン。 MAYA

キッチンができると 変わること。

No. 910(2020.02.15発行)
キッチン
築100年の日本家屋をリノベーション。キッチンは写真から感じる以上に広く、流しも3ヵ所。大人数での料理も快適。

 例えば、旅先の市場に並ぶ、見たこともない色や形の地場野菜。「食べてみたい!」という衝動のまま、買って帰って、宿で調理ができたら  。料理好きの食いしん坊なら、そんな旅に憧れるはずだ。コテージや貸別荘ならそれもできるが、キッチンの性能には期待できない。鍋やフライパンなど調理器具は最低限。料理の映える皿や優雅なカトラリーがあることは稀だ。

 鎌倉の材木座に今年オープンした宿〈MAYA〉には、リビング・ダイニングの隣に、広々とした本格的なオープンキッチンが備わっている。目を引くのは約3mの幅がある大きな作業台。5、6人が同時に下準備できそうな広さで、収納戸を開けば、〈オールクラッド〉の鍋や柳宗理のカトラリーが、サイズ違いできちんと並んでいる。ストックルームには〈照宝〉のせいろ、ほかにも中華鍋や卵焼き器など、約70種の調理器具が揃う。さらには、鎌倉にある〈菊一伊助商店〉の包丁や銅製おろし金も。旅先で、その土地で作られた調理器具が使えるとはなんとも贅沢だ。プロの料理人が泊まっても満足できるほどの設備。気になる食材を試せる楽しさに加えて、〈MAYA〉では料理そのものが旅の目的となる。

 宿にキッチンがあると、土地への関わり方も自然と変わる。鎌倉なら「レンバイ」の名で愛される鎌倉市農協連即売所で、地元の人と同じように買い物ができるし、魚屋でとれたてをさばいてもらうのもいい。店主との会話も旅の思い出だ。買い出し、調理、食事、片づけ。力を合わせて食卓の準備をすれば、仲間との絆も深まる。

 嬉しいのは、翌日の朝食を宿に任せることもできること。運ばれてくる炊きたてのご飯や味噌汁、材木座名物〈もんざ丸〉のシラスなどを味わいつつ、誰かに作ってもらう食事のありがたさを感じる。そして、「じゃあ、昼食は何にしよう?」とまた献立を考えるのも楽しい。知らない土地でキッチンに立つことは、それだけで十分、旅のハイライトになる。

重たい三浦大根や巨大な白菜は、お土産にははばかられることも。宿で料理ができれば、気軽に買って試せる。

地元民も愛用する市場、レンバイ。この土地に暮らしている感覚で楽しめる。

魚は材木座の〈魚梅〉で。調理しやすいようさばいてもらうこともできる。

包丁もまな板も、数が揃っている。

野菜のみずみずしさを感じられるのは、買ってすぐ調理ができるから。

みんなで使うIDEA

2人立てる横並び4つ口コンロ。

よくある4つ口のコンロも、直線に並べることで、2人同時に火元に立っても、ゆったりと調理ができる仕様になる。大人数でキッチンを使う際の問題点を、気の利くつくりで解消。

調理器具はWEBで確認。

キッチンに備えてある70種近い調理器具は、ホームページから事前に確認することができる。宿には調理器具を一覧で掲載する美しい台帳も。献立を考える時に便利な仕組み。

使いたくなる鎌倉の手仕事。

明治35(1902)年から鎌倉に店を構える、老舗の研ぎ屋〈菊一伊助商店〉の銅製のおろし金など、土地と縁深い道具もセレクト。旅先の文化を、調理器具を通して感じられる仕掛け。

ライフスタイルカテゴリの記事をもっと読む

神奈川鎌倉市材木座3−17−29☎0467・33・5639。1棟貸切1泊15万円〜(最大10名まで宿泊可能)。https://www.mayakamakura.jp
宿泊は1日1組。10時チェックイン、17時チェックアウト。寝室3つと離れの浴室あり。

photo/
Masanori Kaneshita
text/
Yuka Uchida

本記事は雑誌BRUTUS910号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は910号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.910
キッチン(2020.02.15発行)

関連記事