アート

Tokyo(2017)| アンドレアス・グルスキー

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 909(2020.02.01発行)
もっと おいしいコーヒーの教科書
©Andreas Gursky/DACS, 2019 Courtesy of Sprüth Magers

 高さ2.5×幅4mほどもある巨大な写真で圧倒するのは、ドイツ生まれの写真家アンドレアス・グルスキー(1955〜)です。風景をいくつにも分割して撮影し、画像をつなぎ合わせることで、一枚の高解像度の写真を作り上げているんだとか。東京の家々の風景がやや斜俯瞰の位置から写されたこの作品。ええ、なんてことはない、ありきたりな住宅街の景色です。が、大きな画面に近づいてよくよく眺めると、一軒一軒の家の細部までが手に取るようにわかっちゃうんです。「あら、レンガ風の家ね」ってな具合に、外壁の質感や、部屋の中に佇む人が着るセーターの色さえも。まさに望遠鏡から覗き込んだ建物が、全体の画面に均一に広がっている感じ。見えていないようで、見える。でも、見えているようで、見えない。そんな東京という街の小ささも大きさも同時に抱いて、街自体が街を、そして写真自体が写真を傍観しているようです。不思議ですね。さあ、2020年の光景を、「東京」はどのように眺めるのでしょうか。

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文/
中村志保

本記事は雑誌BRUTUS909号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は909号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.909
もっと おいしいコーヒーの教科書(2020.02.01発行)

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