最先端のコーヒーキュレーター、ロサンゼルス・ コーヒー・クラブ。

LOS ANGELES 2020

No. 909(2020.02.01発行)
もっと おいしいコーヒーの教科書
アダム・ポール●LA COFFEE CLUB共同創立者

ロサンゼルス都市圏の焙煎家を毎週キュレーションし、フレッシュなコーヒー豆をメンバーの自宅やオフィスに届ける〈LA COFFEE CLUB〉。卸専門の小さなロースターから、カフェに焙煎所を併設したロースタリーカフェを持つブランドまで、これまでフィーチャーしてきたロースターや焙煎家は60軒以上を数える。その〈LA COFFEE CLUB〉のアダムに、現在のロサンゼルスコーヒーシーンについて聞いてみた。

Q
LA COFFEE CLUB〉とは?
A
コーヒーロサンゼルスという大都市を知る、一つのユニークな方法だと考えたんです。多様な民族性やカルチャーのとして知られるこの街のコーヒーシーンは、同じように個性溢れるものでした。ロサンゼルス郡はもちろん、内陸はリバーサイド郡や南のオレンジカウンティまでを網羅し、大小様々なロースターから毎週豆を買い付け、メンバーの自宅やオフィスにデリバリーするコーヒー豆のキュレーションサービスです。調べて新しい焙煎家に出会っていくうちに、焙煎家同士のクチコミで紹介を受けるようにもなり、あっという間に現在のラインナップに到達しました。今の時代、オンラインで調べればすぐに情報は出てくるので、僕らはセレクトに専念し、余分な紙資料は同封しない、というのもこだわりです。
Q
どんなふうにセレクトしていますか?
A
コーヒーの味はもちろん、パッケージデザインや、焙煎家の個性にも焦点が当てられればな、と思っています。中にはコーヒーショップ併設のブランドもあるし、共同焙煎所をシェアして豆の焙煎と卸だけをやっている人もいます。それから自宅のガレージで焙煎しているような小さなブランドも。名前の通り基本はロサンゼルス都市圏の地元コーヒーをセレクトしていますが、小行で訪ねたサンタバーバラで素晴らしいコーヒーに出会い、なんてこともあり。それらのセレクションは「バケーション・フィーチャー」と名づけて紹介することにしました。根底にはフレッシュなコーヒーが一番、という思いがあるので、焙煎したての豆をすぐに発送できる、というルールをクリアするため、地元焙煎家から毎週厳選して発送しています。
Q
サードウェーブ以降、ロサンゼルスの動きに注目すべきところは?
A
サードウェーブ」という認識が人々に浸透し、大きなインディペンデント・ロースターたちに大手の投資が入った今、新しいコーヒーショップやロースターの在り方が生まれていると思います。その特徴に、スケールバックと共同体意識があります。豆と焙煎技術のクオリティの探求は変わりませんが、知識や施設を共有し合う、これまでにないオープンな関係性が皆を持ち上げる、というコミュニティ意識が強くなったのです。それはこの10年くらいで全体的にコーヒーの知識が皆により浸透したことにも由来しますね。〈LA COFFEE CLUB〉では大小問わず、いいと思った焙煎家をフィーチャーできる、という楽しさがありますが、タイ産の豆にフォーカスするなど、コーヒーの文脈で語られなかった地域、ニューワールド・コーヒーに着目している小さなブランドもあります。それからこれまではセレクトした豆を使っていたマルチロースターカフェが満を持して自家焙煎を始めたり、カフェ併設の焙煎機をほかのインディペンデントな焙煎家に時間貸しする、というオープンさで横の繋がりが強くなったり、と新しいアイデアが形になりやすい環境が育まれているのではないでしょうか。
〈Bidaar Coffee〉のヴァリンはタイ産豆に注目。

シェア焙煎施設〈Pulley Collective〉を使う〈Tectonic Coffee〉。

〈Joules & Watts〉のマックスと談笑するアダム。

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アダム・ポール

2011年にシェアオフィスの懇親企画として催したコーヒー講習会がきっかけとなり、定期購入サービス〈LA COFFEE CLUB〉をアントン・ホールと共同起業した。メンバーには選んだ頻度で、キュレーションされたコーヒー豆が送られてくる。https://www.lacoffeeclub.com

photo/
Yoshihiro Makino
text/
Aya Muto

本記事は雑誌BRUTUS909号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は909号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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