旅と地域

気になる疑問に コンシェルジュが回答。ホテルの常識・非常識。

ホテルの常識・非常識。

No. 905(2019.11.15発行)
ニッポンのホテル。

値段のこと、滞在中のルール&マナー、サービスの利用法、持って帰っていいアメニティのボーダーラインなど、一流ホテルにまつわる素朴な疑問を、現役コンシェルジュにぶつけてみました。憧れの場所での贅沢な宿泊が、よりスムーズに楽しく過ごせること間違いなし。

答える人 中村勇介●〈ヒルトン東京〉チーフコンシェルジュ

Q.海外のホテルは 1部屋ごとの 値段表記なのに、 日本のホテルは1人あたり の値段。なぜ?

A.特に理由はなし……! 布団の用意が必要だったことが一因か。

実は、特に、明確な理由はありません。ヒルトンでも統一しておらず、ホテルごとにそれぞれ異なります。ちなみに、日本で“1人につきいくら”という値段設定がされているケースが多いのは、いわゆる日本のお宿は布団を用意する必要があったため、何人泊まるかということが重要だったからという説があります。

Q.宿泊料金の変動が激しいのはどうして?

A. 需要と供給から適正料金を導きます。

ほとんどのホテルで、市場動向や、需要と供給に合わせた適正料金を割り出す「レベニューマネジメント」を導入しているからです。例えば、ラグビーW杯日本大会の時期は、昨年よりも高くなっていたところが多かったはず。逆に、大きなイベントがない時期や閑散期は、自然と安くなります。

Q.ホテルの部屋は、常に100%埋まっているもの?

A. 「満室」表記のある場合は、本当に埋まっている可能性大。

何かあった時のため、必ず数部屋空けているホテルもあります。ただ、最近では空きを作りたくないとか、インターネットの予約サイトで管理されている影響で、「満室」と書いてあれば満室のことがほとんどです。当日ではなく、事前の予約をおすすめします。

Q.部屋のチェンジは、お願いしてもいい?

A. 空きがあれば変更可能。遠慮なく伝えよう。

基本的に、お部屋の空きがあり、お部屋のグレードの範囲内であれば変更できます。もちろん、グレードアップのご相談もぜひ、お願いいたします。どのホテルさんも喜ぶと思いますよ(笑)。

Q.コンシェルジュには、お願いをどこまで聞いてもらえるもの?

A.「できません」はなし。代替案を提案してもらえます。

日本人はコンシェルジュを利用する人が極端に少なく、もっとお声がけいただけると嬉しいです。お店の予約やチケットのご用意など基本的には何でもいたしますし、よほどじゃない限り「できません」とは言いません。以前は人探しをお手伝いしたことも。また、不可能な場合でも、代替案をご提案します。例えば、有名な寿司店に行きたいけど予約がいっぱいで叶わない時は、そのお弟子さんのお店をおすすめします。

Q.なんで朝食が2,000円、3,000円もするの?

A. メニューラインナップと雰囲気込みで考えてみよう。

たくさんのメニューから選べるバイキングが用意されていたり、シェフが目の前で卵料理を作ってくれるなど、朝食にこだわっているホテルは多いです。また、場の雰囲気も含めてのお値段だと思っていただけましたら、幸いでございます。

Q.サービス料込みの場合、チップはどうするべき?

A.支払う必要なし。ただし、渡すのは自由です。

料金にサービス料が入っている以上は、チップを支払う必要はありません。ただ、海外の方など、“払わないと気持ち悪い”という方もおり、受け取るかどうかはいただいた者の判断に任せています。

Q.持ち帰っていいアメニティのボーダーラインはどこ?

A.リネン類はNG。迷ったらフロントに電話を。

いわゆる洗面台周りのアメニティや、小分けにされたコーヒー、ティーバッグはお持ち帰りいただいて大丈夫です。ただ、タオルやバスローブなどのリネン類は、再利用するためNGとなります。スリッパは、ホテルさんによって種類がさまざまで、持ち帰り不可のところも。「これ、いいのかな?」と思ったらご相談ください。ちなみに、これまでに私が驚いたケースでは、枕が全部なくなっていたことがありました。

Q.ルームサービスは何時まで頼める?

A.基本、24時間いつでも大丈夫。

24時間頼めるホテルがほとんどです。ただ、フードでいえば時間帯によって頼めるメニューの増減があるなど、通常と変更のある可能性はあります。また、「これを作ってほしい」「この具材を足してほしい、抜いてほしい」というご希望に応える場合も多いため、ご要望があればお申し出ください。ほかにも、クリーニングやシューシャイン(靴磨き)、また、加湿器や姿見、扇風機の貸し出しをしているケースも多いです。

Q.たくさんある枕、ピシッと整えられたシーツがうまく扱えません……。

A.正解はなし。シーツは自分好みに整えてもらえます。

枕もシーツも、特に正解はありませんので自由な発想でお使いください。海外の方は枕がたくさんあると喜ばれることが多く、4つくらい入れているところが一般的です。「あと2つ追加してください」などと要望をいただくこともありますよ。「脇と脚に挟まないと寝られない」「頭や首の周りが囲まれてないと落ち着かない」と、自由に使われています。シーツでいうと、大胆に一回はがしている方もいれば、逆に、タイトに挟まれるのがいいという方も。自分好みに仕上げたい場合は、ベッドメイキングをするターンダウンサービスをご利用ください。

Q.夜中にお風呂に入るのはあり?

A.何時でも気にせず入って問題なし。

お風呂の音がトラブルになることはほとんどありませんので、24時間いつでも、安心してお入りください。音の苦情でいうと、とんでもない音量で音楽を聴いていたり、飛び跳ねるなどした時の足音が問題となるケースが多いです。

Q.宿泊者以外の訪問客を部屋に入れてもいい?

A.宿泊できる人数が基準。夜22時には帰るのがベター。

エキストラベッド込みで泊まれる人数が、お部屋に入れて構わない訪問客様の人数の目安となります。例えばツインの場合は3〜4人。それ以上になると出入りが多くなり、ほかのお客様のご迷惑になることもあるため、レストランの個室などをおすすめする場合があります。ホテルにもよりますが、訪問時間は22時まで。それ以降は、宿泊料金がかかります。

Q.夕食、朝食時の服装は、ラフでもいいのでしょうか?

A.スマートカジュアルが正解。

レストランのドレスコードに準ずると間違いありませんが、スマートカジュアルですと、より良いサービスが受けられる可能性があります。リゾートホテルではバスローブやルームウェアで歩けるホテルもありますが、都市部の場合、宿泊以外の目的でホテルに来られている方もいますので、避けていただけると幸いです。

Q.何度も清掃に入られた。どうすれば防げたの?

A.「Don't disturb」の札をノブに下げて。

「Don't disturb」の札をノブに下げていただくと、“ホテルマンは何があっても入っちゃいけない”という合図になります。ただ、下げた札を取り忘れ、掃除をしてほしかったのにしてもらえなかった、という人もいるのでご注意ください。

Q.飲み放題、食べ放題のラウンジが使える部屋があるって本当?

A.エグゼクティブプランを利用しよう。

エグゼクティブルーム、エグゼクティブフロアというものをご用意しているホテルがあります。ホテルのメンバー会員であったり、そこへのアクセス権があるプランでご予約いただくと利用できます。簡単なスナックや、ビールなどのドリンク、カクテルタイムなどを楽しめます。

Q.チェックアウト時間は、どのくらい過ぎると怒られますか?

A.怒られることはなし。一度、状況の相談を!

1分でも過ぎたらダメだということも、怒られることもありません(笑)。寝過ごしたりなど間に合わない場合は、一度、フロントに出られる目安を相談してみてください。延長は、無料で受けられる範囲と料金がかかる範囲があり、時間次第では、デイユースというお昼にお部屋をご利用いただくプランに切り替わり、その料金が丸々かかってしまうこともあります。

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中村勇介

なかむら・ゆうすけ/〈ヒルトン東京〉チーフコンシェルジュ。日本コンシェルジュ協会会員。国内外のお客様のリクエストに応える。

illustration/Michihiro Hori edit&text/Aya Shigenobu/

本記事は雑誌BRUTUS905号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は905号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.905
ニッポンのホテル。(2019.11.15発行)

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