旅と地域

ホテルは旅の最終目的地で良いのです。 No.905 フロム エディターズ

From Editors

No. 905(2019.11.15発行)
ニッポンのホテル。
5mくらいの高さから、意を決して滝壺へジャンプ! 驚くほど川の透明度が高く、取材を忘れて童心に返ってしまった。

滞在+αの付加価値が、そのホテルを選ぶ理由になる。料理、景色、アクティビティ、文化体験。それらはインバウンド需要の引き金にもなっているけど、来日する外国人だってリピーターともなれば、日本全国隅々まで歩き回るという。地方創生の流れもあって、多くのホテルが、地域色をより深めてきたというのが、取材後の印象でした。アクティビティ寄りの宿を何軒かを取材する中で、ラグジュアリーとは別の意味で、強烈な印象が残った2軒を紹介したい。

滋賀・大津の「和空 三井寺」では修験道体験。まずは天台寺門宗についてお勉強。お経を唱えたら山に入るのだが、そもそも装束がとても機能的で感動する。おでこに乗せている頭襟(ときん)にはコップの役割があり、螺緒(かいのお)と呼ばれる腰紐はザイルの役割も果たすなど、動きやすいだけではなく、アイデア満載なのである。もちろん、ハイライトは山に分け入ってから。ピリッと身が引き締まる思いで、山の神々しい空気を吸い込む。なかなか貴重な体験である。個々の能力に応じたコースを用意してくれるのでご安心を。

長野・南木曽の「Zenagi」ではキャニオニング。まず、道具一式を借りたら、プロのガイドと、特別な許可がないと立ち入ることができない柿其(かきぞれ)渓谷を目指す。すでにこのアプローチからアドベンチャー感満載。濁りが全くない柿其川の清流を、下から登っていく。抜群の透明度で、数メートル先まで見渡せるのはもちろん、水面から上に渓谷の緑が鮮やかに見えるほど。ゴールとなる「霧ヶ滝」では滝壺に飛び込んだり。これまた、一生忘れられない経験を記憶に刻み込むことに。

ホテルと言えば、“旅先で泊まる場所”程度の認識しかなかったけど、今回で考えを改めました。もはや旅をエンターテインしてくれる目的地であることが、体感できたのです。

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鮎川隆史(本誌担当編集)/

本記事は雑誌BRUTUS905号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は905号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.905
ニッポンのホテル。(2019.11.15発行)

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