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[話題の音楽] 温かい夜の時間が過ごせるように。原田知世がバラード・セレクションを発表。『Candle Lights』

BRUTUSCOPE

No. 904(2019.11.01発行)
映画特集 いま観る理由

大ヒットしたドラマの後、伊藤ゴローと制作した優しい名曲「冬のこもりうた」。スタジオでの制作話を一部公開。

MUSIC & me』(2007年)以降、カバー集『恋愛小説』など、プロデューサー兼音楽制作パートナーに伊藤ゴローを迎えてレコーディングを重ねてきた原田知世。新曲「冬のこもりうた」を含む、バラード・セレクション『Candle Lights』を発表。レコーディングは、お互いに多忙なスケジュールだったため、久しぶりの再会だったという。

原田知世
今年の前半の6ヵ月間、ドラマ(『あなたの番です』)の撮影に入っていました。ゴローさんや音楽制作のチームと全然お会いできていなくて、バンドのメンバーの演奏する姿をテレビで見て"バンドのみんなに会いたいなぁ"なんて思っていた時、このバラード・セレクションの話をいただいたんですよね。
伊藤ゴロー
おかえりなさい(笑)。ドラマがすごくヒットしたから大変だったでしょう。
原田
子供たちから「菜奈ちゃん」と呼ばれるようになりました。ただ、ドラマの現場は、関わっているスタッフも多く、ずっと気を張っていたんですよ。だから、新曲「冬のこもりうた」のレコーディングスタジオで、メンバーの皆さんと久しぶりにお会いして、ホッとしましたね。
伊藤
今回は選曲など、すべてレコード会社のディレクター氏にお任せしたので、新鮮な気持ちでアルバムを聴くことができました。
原田
私はゴローさんと制作を始めて約10年の思い出が詰まっていると感じました。朝聴くと心地のいい曲が多いと思っていましたが、眠る前に聴いてもよいですね。
伊藤
まさに細野晴臣さんがリワークしてくださった1曲目の「ラヴ・ミー・テンダー」とかね。
原田
アレンジが変わることで、自分の声がまるで変わって聞こえました。あの曲が冒頭に来ているので、より一層アルバム全体に深みが出るというか。聞こえ方が変わってくると思いました。
伊藤
リワークでいうと高野寛さんが手がけてくれた「2月の雲」もよかったよね。電子音なんだけど、すごく面白い使い方をしていて。ノレないというか(笑)。でも、すごく和む。
原田
「2月の雲」と同じく、新曲「冬のこもりうた」は、元チャットモンチーで作詞家の高橋久美子さんに歌詞を提供していただきました。
伊藤
この曲の制作作業は、本当に面白かった。普段、僕はメロディを書いて、それに歌詞をつけてもらうということがほとんどで。でも、この曲は先に高橋さんに歌詞を書いてもらったんです。
原田
歌詞を大事にしながら、すごく丁寧にメロディをつけられてましたよね。
伊藤
高橋さんはレコーディングスタジオにも来てくれました。実際に知世ちゃんが歌うニュアンスを聴きながら、歌詞を直してくれて。
原田
実際に歌を聴きながら、ゴローさんもメロディをガラッと変えたりして。そこに高橋さんが細かな歌詞を足し引きするという。
伊藤
高橋さんはチャットモンチー時代、先に歌詞を書き、それにメロディをつけていくというやり方だったみたい。僕はあまりやってこなかった作り方だけど、この詞先の方が言葉や物語をより伝えることができるのかなと思いました。
原田
ゴローさんが事前に7割程度作り込み、現場で3割を仕上げていった感じです。高橋さんには以前に「銀河絵日記」という曲も書いていただいて。信頼があるからこそ、できる作業だったと思います。
伊藤
歌手が歌いやすいと感じる方が、絶対にいいと思っているんですよ。アントニオ・カルロス・ジョビンとジョアン・ジルベルトの作業でも、ジョビンが作った曲に対し、ハーモニーですらジョアンはこっちがいいって変えたりしたみたいで。でも、詞先は初心者なのでまだまだ大変ですよ。
原田
ドラマの撮影中でしたので、新曲の作詞は、またぜひご一緒したいと思っていた高橋久美子さんにお願いしました。高橋さんから届いた歌詞を初めて読んだとき、最後のサビ部分に心に響いたフレーズがありました。レコーディングが撮了直後で演じた役への思いが心に残っていたからなのか、そのフレーズを歌うと胸がとても切なくなりました。不思議に思っていたら、高橋さんもドラマを観てくださっていて「ドラマの役柄を思って、実はちょっと歌詞に入れました」とおっしゃって(笑)。私の芝居と歌が高橋さんの歌詞によって繋がっていたんですね。私にとって特別な曲になりました。
伊藤
次は知世ちゃんが先に歌詞を書いて、僕が曲をつけるというのもいいかもしれません。
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『Candle Lights』

新曲「冬のこもりうた」やリワークを含む、初のバラード・セレクション。大貫妙子作「夢のゆりかご」、細野晴臣作「ソバカス」など全12曲を収録。11月17日東大阪市文化創造館 Dream House大ホール、19日Bunkamura オーチャードホールでライブを予定している。

photo/Naoto Date text/Katsumi Watanabe/

本記事は雑誌BRUTUS904号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は904号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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