エンターテインメント

日生劇場でジャニーさんと交わしたフツーの会話。

西寺郷太のポップ警察〜名曲・珍曲・捜査録〜

No. 898(2019.08.01発行)
ことば、の答え。

ジャニーさんことジャニー喜多川社長の訃報が届きました。僕にとって、最初に好きになったアイドルは、小学1年生の春、デビューした直後の田原俊彦さん。以降、ジャニーズ・アイドルが連打し続けたハイクオリティな楽曲ときらめくパフォーマンスに夢中に。特に1985年12月に登場した本格派・少年隊と、87年夏、ローラースケートに乗って颯爽と現れた光GENJIの2組は、今も日本芸能音楽の最高峰だと信じてやみません。
 
プロになってからも作詞・作曲家、音楽プロデューサーなど役割は違えど、近藤真彦さん、少年隊、KAT−TUN、SMAP、V6、A.B.C−Z、錚々たる面々と作品を作らせていただいています。特に錦織一清さんが演出され、僕が音楽と脚本を任せられた2016年の舞台『ABC座2016 株式会社応援屋!!〜OH & YEAH!!〜』の現場では光栄にもジャニーさんのご指導を受けることができました。3年前、80代半ばとは思えない艶のある声で的確なアドバイスを演出の錦織さんに与えられていたその姿を心地よい緊張感とともに思い出します。
 
一度だけジャニーさんと部屋で2人きりになったことが。それは日生劇場のスタッフルームに僕がたまたま1人でいた時のこと。部屋に入ってこられたジャニーさんがキョロキョロ部屋を見渡されていて。僕が「何か探されてますか?」と尋ねたところ「いや、すみません、なにもないです」と丁寧におっしゃったんですが、「もしかして、携帯の充電器ですか?」と僕が察したところ、どうやら予想が当たったようで。「僕ので良かったら、お使いになりますか?」と、僕は自分が旅先のホテルなどのベッドで使えるよう買った長いケーブルの充電器を取り出して見せました。見慣れぬ長さのケーブルに驚かれていたジャニーさんに「コンセントから遠くても使えて便利なんです、ぜひ!」と……。「本当にありがとうございます」と、僕の充電器を手にされて出ていかれる後ろ姿に大感激で。
 
子供の頃からジャニーさんが生み出されたエンターテインメントに影響され、お世話になったばかりの僕の音楽人生で、一度だけ2人きりの時間を過ごせ、僕から少しでもお役に立てたエピソードは宝物です。

『BEST OF 少年隊』(少年隊)

名曲が詰まってます。

「仮面舞踏会」「デカメロン伝説」「君だけに」「ABC」など1980年代のヒットソングが詰まった、少年隊としては唯一のベスト盤CD。1988年発売。

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文・題字 西寺郷太

にしでら・ごうた/手書きノート本『伝わるノートマジック』発売中! 8月24日、母校の早稲田大学で講演。テーマはMJの作詞!

編集/
辛島いづみ

本記事は雑誌BRUTUS898号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は898号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.898
ことば、の答え。(2019.08.01発行)

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