Bar Portillo DE “SAL Y AMOR” / TexturA

グルマン温故知新

No. 897(2019.07.16発行)
決闘写真論

スペイン料理の楽しみを広げるバルとファインダイニング。

有名シェフが監修したスペインと中華のミクスチャーという斬新なレストランが話題沸騰中。一方でスペイン料理の繁盛店が満を持して伝統料理をより気軽に楽しめるバルをオープン。古典か新潮流か。どちらもシチュエーションに応じた使い方があり、活用度高し!

Bar Portillo DE “SAL Y AMOR” (中目黒)

ツウも満足するスペイン古典料理入門バル。

バルといいながらメニューに8種類もの米料理が並ぶのは、代官山の人気アロセリア(米料理専門店)〈サル イ アモール〉が母体ゆえ。通常2~3人分からのオーダーだが、毎晩19時からの1時間「本日のパエリア」を小ポーションで提供。あらかじめ小鍋で炊くのではなく、直径45㎝の鍋で炊いたものを取り分ける豪快さも味。

 もちろんタパスも充実。生ハムやチョリソといったド定番から、トマトベースのサルモレホで食べるナスのフリットといったマニアックな郷土料理まで。どれもニンニクの効かせ方や塩加減がこれぞスペインな味で、シェリーが、ワインがざくざく進む。大人数ならば専用の大皿で供される6種盛り「コンビナート」をぜひ。

「ポルティージョ」はスペイン語で「入口」の意味。お一人様も立ち飲みもウェルカムの気軽なスタイルで伝統の味を広く伝えながら、コアなスペイン料理好きをも納得させる凄腕。見事。

タパス6種盛り“コンビナード”

軽めのおつまみ中心、揚げ物中心と、5種類の盛り合わせがある。写真は「人気タパスを集めた盛り合わせ」。右上から時計回りに、ピキージョのコンフィ、タラのグラティナード(グラタン)、生ハム、チョリソと揚げ卵、イカのフリット ニンニクマヨネーズ添え。真ん中がマッシュルームオイル煮。3,500円。

なすのフリート サルモレホ添え

軽い衣に包まれたナスは、とろりとして甘味に凝縮感がある。コルドバ伝統のソース・サルモレホは濃厚なガスパチョのような味わい。開業前、研修で渡ったスペイン・アンダルシアで出会った一皿がヒントに。1,400円。

バレンシアパエリア

鶏とウサギの肉で作る定番パエリア。スパイスで炒めた肉と、軟らかく火が通ったモロッコインゲンや白花豆の甘味、トマトソースが、深みのある味わいの骨格に。ニンニクとローズマリーが香る。2~3人前2,900円。

TexturA (日比谷)

西中のベーシックを織り交ぜた新提案。

 分子料理や斬新なプレゼンテーションでモダンスパニッシュの要素を取り入れるのではなく、「中華とスペイン」の二本柱というのが斬新。仕掛け人四川料理の人気店〈東京チャイニーズ一凛〉〈イチリンハナレ〉の齋藤宏文シェフ。食を自由に楽しむ素地がある東京で「シンプルに旨いものをファッショナブルに」という提案だ。

 カジュアルモダンなダイニングでアラカルトを、シックなレストランではコース料理を、とメニュー、空間とも2部構成。チャーシューと羊のソーセージを盛り合わせたアラカルトの一品「チャ~セージ」が示すよう、調理法は混ぜないのが基本。バルセロナでも話題のもちもちパン、パン・デ・クリスタルを使ったパンコントマテやアヒージョと一緒に、よだれ鶏や餃子を味わえる楽しさといったら! アツアツの温度や立ち上る香り。両国の料理に共通する味の核はきちんと守られていて、「一口で二度おいしい」満足感だ。

チャ~セージ

クミンが香る羊のソーセージは、嚙んだ瞬間、香りと肉々しさがあふれ出す。肩ロースにじっくり火を入れたチャーシューは、甘辛風味の奥から豚の脂の甘味がじわり。どちらも2~3人でシェアして十分なポーション。ソーセージはパプリカのソースと一緒に。ディナーのアラカルトメニューから。1,500円。

よだれ鶏のタレで餃子と山椒麺を食べる〈イチリンハナレ〉のスペシャリテ。最後に豆乳を注いで、一滴残さず味わう。スパイシーなタレに合わせ、餃子は厚めの皮でもちもちに。アラカルト900円(コースでも提供)。

パエリア

メニューにはない「振る舞いパエリア」だけ、西中折衷の一品。写真は貝柱だしとジャンボマッシュルーム。直径51㎝の大鍋で炊き、小皿でコースの合間に、アラカルトの箸休めにサービスで提供(なくなり次第終了)。

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Bar Portillo DE “SAL Y AMOR”

電話:03・6455・2536
営業時間:17時30分~22時30分LO(土・日・祝~22時LO)。
酒:ハウスワイングラス550円、カラフェ1,800円、ボトル2,800円。
価格:アラカルトのみ。タパス500円~、パエリア2,900円~。
席数 :カウンター14席、テーブル10卓26席。スタンディング7~8人可。

東京都目黒区青葉台1−19−12 エスセナーリオ青葉台103。月曜休。交通:東京メトロほか中目黒駅から徒歩7分。2019年5月10日オープン。パン代1人200円。ワインはすべてスペイン産で、リーズナブルなハウスワイン白赤各2種に加え、グラスワイン8種650円~。ほか、シェリーやスペイン産のリキュール、スピリッツも揃う。オーナーはスペイン人シェフを父に持つ岡本ビクトル栄さん。

TexturA

電話:03・6259・1144
営業時間:11時~14時、17時~23時(コースのLOは要問合せ)。
酒:ハビール(小瓶)800円~、グラスワイン9種900円~。
価格:アラカルト約20種650円~、コース昼5,000円〜、夜8,000円。
席数 :アラカルト8卓16席、コース12卓60席、テラス10席。

東京都千代田区有楽町1−7−1 有楽町電気ビル北館1F。無休(ビルの休館日を除く)。14時〜17時はカフェ営業あり。交通:東京メトロ日比谷駅から徒歩すぐ。2019年4月23日オープン。コースは昼8皿、夜11皿が目安。アラカルト用ダイニングの平日昼は、ランチプレート1,700円~を提供。極上ツナサラダ1,300円、アヒージョ1,500円ほか。クラフトスピリッツやノンアルコールドリンクも充実。

文/
佐々木ケイ
photo/
Naoki Tani

本記事は雑誌BRUTUS897号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は897号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.897
決闘写真論(2019.07.16発行)

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