エンターテインメント

文芸誌の読者を、デザインの力で楽しませたい

本を作る人。

No. 896(2019.07.01発行)
新・珍奇植物

サトウサンカイ デザイナー 佐藤亜沙美 (第1回/全4回)

この春、20年ぶりの大リニューアルで話題になった文芸誌『文藝』。この号からアートディレクターに就任した佐藤亜沙美さんに、新しいデザインの企みと仕掛けについて話を聞いた。

  文芸誌史上最高のポップ度で読者を驚かせた『文藝』のリニューアル。このデザインはどんなふうに生まれたんですか?
佐藤亜沙美 
文芸誌という、ある意味で古風な、歴史あるメディアを、これまでの読者だけでなく新しい読者にも届けたいという思いでデザインしました。表紙と目次には、GIFアニメを作るクイックオバケさんによる「文ちゃん」というキャラクター。誌面では、藤田重信さんが作られた筑紫明朝という書体を採用しました。活版由来の型を踏襲しながらも、たまりやはらいなど、筆の動きを組み込んだアバンギャルドな書体で、誌面の見え方、読み心地はかなり変わったと思います。リニューアル第1号は520ページあるのですが、読者の目を飽きさせないように、一つ一つにクセをつけていこうと考えました。
  クセというと具体的には?
佐藤 
小説なら長編、中編、短編で1行の文字数や段組み、余白を変えています。エッセイやコラムはそれぞれ個性を出して、漫画のような吹き出しをつけたり、「はばたけ くらもと偏愛編集室」なら、書き手の倉本さおりさんのたおやかなイメージを反映して線画を配したり。
  表紙に目次に中のページにも、大きな文字が躍っています。
佐藤 
タイトルや著者名をバーンと見せ何が載っているかが一目でわかるようにしました。現代人は文字を読む体力がどんどんなくなってきているといわれますが、デザインによって読み手のテンションを少しだけ立ち上げる、そんな仕掛けができたらいいなと思っています。(続く)

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さとう・あさみ

1982年生まれ。デザイン事務所〈コズフィッシュ〉勤務を経て2014年に独立。〈サトウサンカイ〉をスタート。書籍を中心に、雑誌、広告、CDなどのデザインも手がける。

第1回第2回第3回第4回

写真/
角戸菜摘
文/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS896号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は896号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.896
新・珍奇植物(2019.07.01発行)

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